2020.05.18 Monday

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2020.01.06 Monday

踊れない令和2年の開幕

 

新年早々、目出度くない話をする。

あたしは昨年の文化の日にアキレス腱断裂をした。

あるスタジオのおさらい会のリハーサル中のハプニングだった。

 

特別な動きをしていたわけじゃない。

ふつうにポアントでルルベをして、

後ろにアラベスクしていた動脚を床におろした瞬間、

「カーン!」という耳慣れない音が聞こえ、なんだろう?

と不思議に思うやいなや、へなへなと倒れ込んでしまった。

 

アキレス腱は人体で一番太く強い腱なのに、

断裂は青天の霹靂的シチュエーションで起こる。

十分なストレッチをしたダンサーがプリエをしたら「コーン!」。

主婦が掃除機をかけようと足を踏み出した瞬間「ガッン!」。

サラリーマンのお父さんが子どもの運動会で

張り切って綱引きをしていたら「ゴン!」。

 

すぐに氷で冷やし、応急固定処置をしてもらい、

救急車で病院に運ばれ、非常勤医に診てもらったら、

「断裂してますね。明後日、常勤医の診察を受けてください」

といとも簡単に言われ、幸いスタジオの先生が車を

だしてくださったので、その夜は無事、帰宅できたのだった。

 

5日、診察の先生からは「早く手術しましょう」とのご託宣で、

7日に入院→即手術、翌日から激痛リハビリ開始、

新天皇・皇后の祝賀パレードは病室のテレビで視聴、

10日後に退院、以来、自宅でリハビリ生活を送っている。

全身麻酔で足首の後ろを切開し、真っ二つに切れて上下に離れて

宙ぶらりんの腱を合わせて縫合したあとは、

地獄の痛みだろうがなんだろうが、

すぐに足首をフレックスにする運動を始めないと

周囲の組織が固まってしまう。

「先生、激痛です。こんなに曲げたらまた切れてしまいませんか?」

「そんな簡単に切れるような手術はしてないよ。

ほらほら、やらないと、歩けなくなるよ」

スポーツ系バンカラ医師と弱虫トホホ患者のあいだでは

こんな会話が交わされたのだった。

 

ご覧の写真は術後4日目で、右足がパンパンに腫れて色も悪い。

即位パレードは観れて良かったが、TVカードがすぐなくなった。

食事はヘルシーで美味しく、いつも完食で看護師さんに褒められた。

 

怪我のせいで、いろいろな予定が狂ってしまった。

大阪で11月上旬開催の「西城秀樹メモリアル展」を

楽しみにしていたのに行けなかった。

予約済みのバレエ公演2本はチケットを友人にあげてしまった。

16回クラスを3月まで一括払いしてあるAngel R

レッスンも5カ月分無駄になってしまう。

12月3日は母の一周忌だったのに、

妹たちとの法事・会食は欠席せざるを得なかった。

 

でも、踊れないからといって落ち込んではいない。

実は、仕事に集中できないからバレエはもうやめようかな、

どういうタイミングでやめるのがベストかな──

ここ一年、そんなこと考えながらレッスンをしていた。

そんな優柔不断だからアキレス腱が切れたのかもしれない。

しかしどうせなら、こんな怪我という外的要因ではなく、

端役でもいいから全幕作品に出演させてもらい、

“引退公演”をしてから自分の意志でカッコ良くやめたかった。

 

完治6カ月といわれているが、それは普通に歩けて

軽い運動が可能になるのであって、バレエのピルエット、

ジャンプもこなして踊れるようになるには

入門クラスのバーで地道にタンジュから始め、

それで2年後ぐらいに元通りになるかならないか。

多分ポアントはもう履けないだろう。

再断裂もあり得るのだから、今後はヨガ程度にするのが無難かも。

聞いた話では、左足と右足を各二回断裂した人がいる

というから恐ろしい……。

 

今現在、まだ右足はむくんで傷口が痛痒いけど、

室内では多少引きずりながらのろのろ二足歩行している。

近所の散歩もOKで、そのときは用心のために片松葉杖だ。

年末最後の通院リハビリは帰りに地下鉄を使ってみた。

人混みが怖いけど、階段もうまくこなせた。

 

そんなあたしの2020年は、どんな展開になるのだろう。

怪我の功名、ってな感じで何かこう、

パッとステキな年にならないものだろうか。

 

 


2019.08.01 Thursday

バレエ観賞の日々(5月の場合)

 

ブログが滞っている。毎日忙しくしているので

頭の中が未整理のまま、ただ時が過ぎていく。

生活記録でもあるのだから、いい加減腰を据えて認めなくては。

まず5月に観たバレエ公演やバレエ映画についてまとめてみる。

 

5月10日(金)横浜市中区のTHE HALL YOKOHAMAにて

和雅美×福田圭吾率いるバレエエンターテイメント・ユニット

DAIFUKU」による『HOME』を観た。

新国立劇場バレエ団のOB&現役を含むダンサーたちが

昭和的日本の懐かしい家族の情景・詩情を

ユーモアとペーソス漂う演出・振付で踊り描いた。

360度から観賞できる舞台構成がユニークなこのユニットは

2016年に始動して今回の公演で第5回目になるが、『HOME』では、

祖父母、父母、子供たちがひとつ電燈の下で食卓を囲んでいた、

古き良き日本を見せてくれた。くすくす笑えてウルッとくる。

わたしはこんな作品が好きだ。

 

 

25日(土)新宿文化センターで骨髄バンク主催の合同ダンス発表会。

週一レッスンを受講している豪徳寺のスタジオも参加していたので

応援に出かけたのだが、皆さん、エスメラルダやドンキや

コッペリアなどのヴァリエーションをステキな衣装で踊っていた。

人はなんで踊るのだろう、と常々わたしは考えるのだが、

行き着く答えはいつも、そりゃあ、楽しいからよ♪ なのである。

 

26日(日)新国立劇場中ホールにて

NBAバレエ団の『リトル・マーメイド』と『真夏の夜の夢』。

マーメイドを観るのは二回目、真夏はもう三回目になるが、

団員の入れ替わり、演出も少しずつ変わるから、新しい発見がある。

リトル・マーメイド』はアメリカオリジナルの作品で、

人魚が歌う唄が前回は英語だったが、今回はアメリカ人歌手同様に

美しく澄んだ声の日本の女性歌手が歌っていたので、楽しさ倍増。

ナレーション、唄ありで、下手なミュージカルよりよっぽど面白い。

なんといっても踊りはテクニシャン揃いのNBAダンサーなのだから。

 

29日(水)は日本橋TOHOシネマズにて

ボリショイ・バレエinシネマの『黄金時代』を観た。

チケットを購入してから、同タイトル作品をずいぶん前に

NHK BSプレミアムが放送したのを録画していたことに気付き、

嫌な予感がしたのだが、ピンポーン、やはり同じものだった。

公演日20161016日)もキャストも……。

とはいえ、大画面で観るのは大迫力で、この点は大満足。

 

黄金時代』の音楽はショスタコーヴィチが192930年に作曲し、

1930年初演時の台本は犖渋綫験茘瓩紡┐靴榛酩覆鯢要としていた

ソ連国立劇場当局が開催したコンクールの入賞作がベースになった。

周知のとおり、かの国は帝政が崩壊し、1917年の2月&10月革命、

1920年まで続いた内戦状態を経て、史上初の社会主義国家を樹立。

黄金時代』の内容は、皇帝ご用達の夢のようなバレエとは違い、

民衆の暮らしや新しい時代の世相を反映していた──

西側のとある資本主義国で開催された工業博覧会「黄金時代」に

ソ連のサッカークラブが招待され、選手たちは退廃的な西側文化を見聞、

現地の共産党員や労働者たちと友情を築き、労働の踊りを繰り広げる。

なんともコミンテルン色を帯びた、プロパガンダ的なストーリーだ。

 

わたしが観たのはグリゴローヴィチ振付による1982年版で、

ストーリー設定は1920年代だが、舞台はロシア南部の海辺の町。

「黄金時代」というキャバレーの美しい踊り子と若い漁師の恋に、

地元ギャングの親分が絡むという洒落た三角関係ものになっていた。

パリのファッションショーを彷彿とさせる煌びやかな衣装を纏った

ダンサーたちが、ブロードウェイミュージカルよろしく

めくるめく踊り回るキャバレー・シーンはまるで宝塚レビューのよう。

それでも時代背景を原作同様1920年代にしてある点がミソだ。

革命と内戦を経験した当時のソ連は深刻な食糧・物資不足に瀕し、

国民を疲弊から救うためにレーニン率いる新政権は窮余の策として

社会主義体制とは相矛盾する「新経済政策(ネップ)」を1921年に施行。

私的実業家を気取るギャングが幅を利かしてもいただろう。

これが、2006年にマリンスキー劇場が再演した『黄金時代』になると、

時代はまさに今、年老いた男女が昔を回想する話になっているという。

バレエは、かように時代の流れに乗って変遷しながら永らえる、

民衆のための素晴らしいエンタテイメント、だとわたしは思う。

 

 

30日(木)は新宿武蔵野館にて映画『ホワイト・クロウ』を観賞。

英ロ仏の共同制作によるルドルフ・ヌレイエフの伝記映画だが、

彼に関してわたしは読み過ぎ、観過ぎ、知り過ぎているので、

まあ、観なくてもよかったかも、というのが感想だ。

そもそも、ヌレイエフを演じたダンサーが良くない、線が細過ぎる。

ロシアの大地にすっくと立つ、ごつい農夫のような男でなくては。

その身体がバレエを踊るからヌレイエフは魅力的で輝いていたのだ。

亡命の緊迫感は、チャイコ刊『びっくりさせてよ』のほうが強烈だ。

ヌレイエフとバリシニコフを足して二で割ったような亡命ダンサー、

主人公アースランの物語。ぜひお読みください。

amazon.jpもしくはhttps://tchaiko.co.jpからどうぞ。

 

 

 


2019.05.08 Wednesday

読書三昧&西城秀樹三昧&河本蓮大朗

 

10連休のゴールデンウィークはのんびり山の家で過ごした。

雨の日もあったけど、冬場は枯れて茶色の枝ばかりだった樹々が

緑に芽吹き、早朝に見やる向こうの山肌に雲がたなびく様は清々しい。

 

 

先月スパイラルのグループ展で購入した河本蓮大朗さんの作品を

山の家のどこに飾るかで大いに悩んだが、

落ち着いたのはわたしの寝室の窓辺だった。

照明でも自然光でも金糸の輝きが白い壁に拡散して

フレームの周りに不思議なハレーションを生む。

並んだルドンの花の絵(精巧な複製画)の青紫とも調和して

眺めているだけで心が安らぐ。見飽きない。

東京の家のバルコニーに咲く大輪のクレマチスと同じ色合いだ。

 

 

TVをよく見たが、「令和」フィーバーの大騒ぎは感心しない。

元号はいまや天皇の在位期間を表わす記号と化している。

あってもいいけれど、それは皇室関係だけで使用していただき、

国民の生活レベルでは単純に西暦だけのほうが便利だし合理的だ。

わたしはもう西暦だけで暮らしていくことにしている。

中国、北朝鮮、韓国もとっくの昔に元号を廃止していて、

世界中で日本だけですよ、和暦と西暦で頭がごちゃごちゃしてるのは。

元号で時間を区切ってリセットした気分でお祭り騒ぎしても

変わらず時間は流れているのだし、何も変っちゃいない。

時間を元号で区切って思考する日本人の精神構造は、

時間を一貫した流れとして捉える国々のそれとは、

歴史への責任の在り方が異なるのでは? と思うのだが、どうだろう。

 

休暇中、仕事もバレエもしなかったものだから、柄にもなく

天皇制や元号のことを狹学瓩靴燭里世韻譴鼻△韻辰海λ椶眛匹鵑澄

なかでも『安井かずみがいた時代』(島崎今日子著/集英社/2013年刊)

面白かった。6070年代を中心に日本歌謡界に君臨した訳詞家、作詞家の

安井かずみの実像に迫る渾身のノンフィクションだ。

 

 

安井かずみには4000にのぼる作品があり、ヒット作も数多い。

このところ西城秀樹について調べていて、彼の1973年「ちぎれた愛」

1974年「激しい恋」、1975年「この愛のときめき」も彼女の作なので、

二人の関係について何か書かれているかと思って入手したのだが、

期待外れだった。当時秀樹は1819。安井は3435。その年齢差16

デビュー後1、2年の秀樹にしてみればこの売れっ子作詞家は

高嶺の紅薔薇で、彼女自身は当時、その目で見つめられると

男でさえ孕むと謳われた沢田研二にぞっこんだったそうで、

ジュリーに多くの作品を捧げていたのだった。

 

そんなこんなで、秀樹に関する情報は見つからなかったものの、

しかしこの本は、演歌中心だった日本の音楽界が欧米の影響を受けながら

歌謡 ポップス → フォーク ロックへと

変遷していく姿を覗き見ることができて興味深かった。

 

さあ、長い連休も終わり、東京に戻ってきた。

また、仕事とバレエの毎日の始まりはじまりだ。

 

 



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