バレエ三昧の季節 その 屮魅譽┘奸Εラ」など

  • 2018.05.22 Tuesday
  • 03:47

 

遅れている次の本の作業が大分整ってきたので、

2ヵ月も休載状態だったブログを書く余裕も出てきた。

忘れないうちに、まず3、4、5月に観たバレエ作品について──。

 

3月14日(水)バレエフレンドK子さんと観た

ボリショイ映画「ジゼル」@TOHOシネマズ新宿:

  ポルーニンのアルブレヒト狙いだったが、私感では、

彼の容姿は軟弱な貴族向きではなく、ザハロワは

いつもながら美しいが、このジゼルにはいささか薹が立ちすぎ。

最近のわたしは、西洋人で頭小・腕脚長いダンサーだからステキ、

とは思わないので、鑑賞の仕方が難しい。

 

3月25日(日)一般社団法人現代舞踊協会主催の現代舞踊名作劇場

       @彩の国さいたま芸術劇場大ホール:

 日本のバレエ史の研究のためにどうしても観ておきたかった公演だ。

石井みどり作《体 ─たい─》(1961年初演)

江口隆哉・宮操子作《プロメテの火 ─全景─》1950年初演)。

西洋からバレエが入ってきて、先人たちはその洗礼を受けたが、

ある時点でバレエから離れ、現代舞踊のパイオニアとなった人たちが日本にはいた。

その流れから出て来た舞踊家の代表例が石井みどりであり、江口・宮夫妻だ。

日本のバレエの今後を考察するには欠かせない人たちであり、作品である。

個人的に琴線に触れたのは《体 ─たい─》で、

音楽がストラヴィンスキー「春の祭典」のせいかもしれないが、

群舞ダンサーたちの驚くべき身体能力が音とマッチして圧巻、現代的。

振付、舞台展開も秀逸で全然古くない。

 

(上)指揮者・作曲家の近衛秀麿が戦前、ドイツから持ち帰った「春の祭典」の楽譜。

(下)劇場ロビーに飾られていた昔の「体 ─たい─」の舞台写真と、晩年の石井みどりさんのポートレイト。

 

4月18日(水)ボリショイ映画「パリの炎」@TOHOシネマズ日本橋:

 「パリの炎」は昨年6月のボリショイ・バレエ団来日60周年記念公演の

プログラムに入っていたが、観逃していたので、映画が来てラッキーだった。

フランス革命のときの市民たちが闘う姿をバレエ化したもので、

お姫様だの妖精だのという夢の世界ではない、地に足がついた内容、

それをバレエで力強く踊って表現するのだから、これはもうわたし好み。

キーロフ・レニングラード・バレエ団がワイノーネン版を1932年に初演、

ボリショイ劇場では1933年に上演されたというが、

日本ではコンクールでパ・ド・ドゥを見かけるぐらいなので、

一体全幕はどういうストーリーなのだろうと気になっていた。

今回のはボリショイのラトマンスキー芸術監督の台本・振付による、

衣装も装置も刷新されたニューバージョンで、2008年に初演されたという。

だからなのだろう、クランコ的というか、ノイマイヤー的というか、

ダイナミックでドラマチックで斬新なのだ。それでいて、

革命がもたらす人間の希望、悲哀、エネルギー、未来をうまく描いている。

 

月が替わって、5月9日(水)ウィーン国立バレエ団の

ヌレエフ・ガラ」@Bunkamuraオーチャードホール:

今回の来日公演には「海賊」もプログラムにあったが、

3月にNBAバレエ団のを観たばかりだったし、

ヌレエフ・ファンとしては当然、ガラを選んだ次第。

 

(左)売り場にあったパネル。(右)プログラム。表紙がベージュに金の飾り罫でとても上品。

 ルグリ版「海賊」の解説、本人のロングインタビュー記事が読み物のようで充実している。

 

このバレエ団の芸術監督は元パリ・オペラ座エトワールで、

いまでも日本で人気のある54歳のマニュエル・ルグリ(就任2010年〜)

彼は駆け出しの頃、パリオペ芸術監督だったヌレエフに目をかけられ

大抜擢を受け、今日自分があるのはヌレエフのおかげ、として

毎年、オマージュとしてこのガラを上演している。

 

前半はバランシン《ワルツ・ファンタジー》(1931年初演)を除けば、

11作品が20世紀後半から21世紀に入って作られたもので、

ヨーロッパのバレエの進化、変貌の方向を示唆している。

ルグリは2020年に芸術監督の座を退くと公表しているが、

退任までにこのバレエ団をさらに大きく育てておこうとしているのか、

そんな彼の真摯な意気込みが感じられるラインアップになっている。

強烈に印象的だったのはノイマイヤー振付《『ヨゼフの伝説』より》と

ダニエル・プロイエット振付《シーニュ 白鳥》。

前者はヨゼフ役のダンサーが全裸に近い姿で美しく衝撃的に踊り、

後者は環境破壊された21世紀の地球の“瀕死の白鳥”とでもいうか、

顔は白塗り、真っ赤な紅で大きく裂けたような口を描いたバレリーナが、

奇抜なデザインのチュチュで、半身不随、腕脚骨折、全身麻痺のように

バランスを崩して、苦しみ、もがき、踊るのが奇妙に感動的で胸を打つのだ。

ルグリ自身はプティの「《ランデブー》より」と

ノイマイヤーの新解釈による「《シルヴィア》より」を踊り、

ひときわ大きな拍手喝采とブラボーを浴びていた。

なんだろう、日本人はほとんど彼を愛して離さない、といった感じだ。

 

後半は、[ヌレエフ・セレブレーション]と謳った

ヌレエフ振付全幕物からの抜粋上演になっていた。

『くるみ割り人形』『ライモンダ』『白鳥の湖』という並び。

日本人ダンサーの橋本清香(プリンシパル)、芝本梨花子(アンサンブル)、

木本全優(プリンシパル)も生き生きと踊っていた。

ダンサーたちが踊っている間、終始バックの紗幕

ヌレエフの魅力的に柔和な表情の大きな顔写真が映し出され、

ルグリが育てた弟子たちを優しく見守っていた。

まるで慈母のような、すごく良いお顔をしたヌレエフなのだ。

 

ルグリが芸監に就任する前、ウィーン国立バレエ団にはソリストと

コール・ド・バレエしかおらず、主要な役は外からゲストを招いて

踊ってもらっていたが(日本のバレエ団にもその傾向がある!)、

彼はそれを良しとせず、団員にやる気を持たせ、競って成長させるために

ヒエラルキー制度を構築し、踊れるプリンシパルを育ててきたという。

今回の公演は、その成果を日本のファンに見せるためでもあったのだろうか。

ルグリにとって、これが在団中の最後の日本ツアーになる。
 

 

* 5月のバレエ鑑賞はあと3つあるが、そろそろまた仕事に戻らなければならないので、

     次回のことといたします。

 

 

 

 

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バレエ関連書籍の出版社「チャイコ」専属エディター、鵺子が仕事、バレエ、スウィーツなどについて書いています。

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