腹が立った「Ballet Supreme」: 8月に思う その

  • 2017.08.29 Tuesday
  • 17:42

 

嫌な思いをした。

一カ月ほどぐちゃぐちゃ考えて怒りが冷めてきたので

書いて吐き出して再出発することにしよう。

以下、その嫌な思いについて──

 

パリ・オペラ座バレエ&英国ロイヤル・バレエの

スターたちが共演する公演「Ballet Supreme」のチケットを

訳あって知り合いから譲り受け、726日のAプログラムを

文京シビックホールで観た。ここ数年、

日本のバレエ団ばかり観ていたので、

外国勢はどうなっているのかチェックしたかったし

座席が前から2列目中央だということもあった。

S席19,000円、いいお値段だが、入手しにくい人気の公演だから

さぞや見応えあるだろうと期待したのだった。

 

ところが、着席して驚いた。

そこは本来オーケストラピットのエリアでステージに近過ぎる。

水平に見やる目の前は茶色い板塀。

2時間強の公演中、頭を後ろに反らし、目線を45度上げ、

坐ったまま背伸びをしていなくてはならない。

 

ダンサーたちが踊り始めると、イライラしてきた。

彼らが前のほうに出てこないと美しい足元、

トウシューズの爪先も見えないのだ。

ダンサーがステージ中央にいると脛(すね)から下が見えない。

もっと奥に行くと膝から下が見えない。

「白鳥の湖」三幕よりパ・ド・ドゥで黒鳥が最奥から

グラン・フェッテ・アン・トゥルナンをしながら

前進してくるのだが、初っ端はウエストから上しか見えない。

おまけに、その日の黒鳥は標準とされている32回をまわらなかった。

パリ・オペのエトワールだが、バレエ団がNY公演後の来日で、

東京公演初日だったため、疲れていたのかもしれない。

他のパリ・オペのダンサーたちも精彩に欠けていた。

 

オケピを潰した前過ぎる席の欠点は他にもある。

踊り終えたダンサーが拍手喝采に応えて

最前線まで出てきてくれるのはありがたいが、

そのときの彼らは顔も体も汗だらだらで、

ハーハーという音が聞こえるほどに呼吸が荒い。

美しくあるべきバレエでそういうのは見たくない。

主役を踊っていた男性が一旦袖に引っ込み、再登場し、後ろを向くと

黒タイツのお尻に白い粉みたいなのが付着しているのも丸見えだ。

クリーム色に金銀ラメのオールインワン・レオタード姿の

男性ダンサーが目の前に立ったときには何だか気持ち悪くなった。

 

何が言いたいのかというと──

こういう席は見たいものが見えず、見なくていいものが見えてしまう。

生身の人間が描く“動く芸術的絵画”全体を観ることができないのだ。

これは本当の意味でのバレエ鑑賞ではない。

美しい体で懸命に踊るダンサーたちも、一部の観客の目には

自分たちの体が切れているとは思いもよらないだろう。

作品を創った振付家にも失礼というものだ。

 

終演後、ロビーで公演関係者の男性を見かけたので

「酷い席でしたわ」と話しかけたら、

「ここはまだ良い方ですよ。東京文化会館はもっと酷いです。

バレエの好きな方は嫌でしょうけど」とのご託宣。

これにも驚いた。バレエを観に来るのはバレエ好きばかりではなく、

違うものを観にくる人もいるということなのだろう。

人それぞれだからいいのだが、オーミステイク! だったにせよ

自分がそういう席に座ったというのが情けなくて嫌なのだ。

 

それにしても、オケピの空間を使った席がなぜ19,000円もするのか?

ありていに言えば客席を増やして収益を上げるためだろう。

それに、そんな席でも19,000円を払う客がいるからだ。

主催者によってはそういう席はA席にして安くするところもあると聞く。

それがあるべきかたち、だと思う。

 

後味が悪いので、すっきりほろ酔いできるかき氷をご紹介。

 

 

6月にオープンしたGINZA SIXの地下2Fにある

ワインショップ・エノテカの「グラス・ピレ」。

グラスglace 仏語で氷の意)をピレpiler 仏語で削るの意)して

ワインベースのシロップがかかっている。

ロゼ(ベリー味)とブラン(ミント味)があってとても爽やか。

7月末で終了予定だったが、好評につき8月末までやっているそうだ。

 

 

 

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  • 2017.10.15 Sunday
  • 17:42
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コメント
本当に腹が立ちますね。主催者のプロ意識、プライドが疑われます。私だったら途中で席を立ち、返金を求めるか、別の日の違う席との交換を要求するかも。お金だけでなく時間も返せと言いたいです。泣き寝入りはしない主義です。
  • うさぎさんのママ
  • 2017/08/29 11:01 PM
うさぎさんのママへ、
外国のバレエ団のチケットはとても高いのです。でも日本人は買うのです。彼らの、手足の長い、頭の小さい、美しい姿かたちを鑑賞したいのです。
今回のことで、私はますます日本人のバレエに対する意識の、ひとつのかたちを再確認した次第です。チケット、座席のことも含め、いろいろ調べていきたいと思います。カフカの「城」みたいになるのかもしれませんが。
  • 鵺子
  • 2017/08/30 1:33 AM
昨日突然に棚からぼた餅が落ちてきました。
「HIBARI」の3日公演チケットが一枚余っているので行ってくれないかという、
近所のおじさんからのお誘いでした。
庭先で、ほんの2〜3分で即決。
どういった経緯でチケットが手に入ったのかは、当日聞きますが、S席らしいです。
本格的なバレエ鑑賞は初めてだし、しかもNBAバレエ団なので、非常に楽しみです。
良い席で見られると良いですね。
  • akko
  • 2017/08/30 11:26 AM
akkoさま
すごい牡丹餅ですね。楽しんでください。その近所の方は美空ひばりさんのファンなのかもしれませんね。ありがたいです。日本のバレエ団だって素晴らしい舞台を見せてくれます。
まさか、足が見えないS席ではありませんように! 
私は大分前に購入してあり、2日なんです。会えないのが残念。東京にいれば会いに行くためにもう一回観てもいいのですが……。
HIBARIは一度観ているので、もうひとつのThe Riverを楽しみにしています。テクニックが難しい作品で、ジャズの大御所、エリントンの作曲です。Enjoy!
  • 鵺子
  • 2017/08/30 11:33 PM
私が鵺子さんだったらどうするかな、と考えました。
バレエを観に来たのにバレエがまともに見えなかった、これは遠くてオペラグラス無では見えないとか、柱が邪魔で見ずらいなどということとはわけが違います。主催者に自分の職業を伝え、今回の事をどう思うか、どういう対処をしていただけるか聞きます。
あと、バレエ団にメールして日本ではこのようなことが起こるので、今後日本で公演を行う時には客席からの見え方も確認する必要があることを伝えます。単なるクレームでは無く、両者に意識をもってもらいたいからです。自分のパフォーマンスが実は客席から見えていなかったなんて、バレエ団、ダンサーにとって許しがたいことだと思います。
  • うさぎさんのママ
  • 2017/08/31 12:16 PM
うさぎさんのママへ
確かにそうですね。公益財団法人日本舞台芸術振興会、パリ・オペ、ロイヤルに事情を伝え、確認するべきでしょう。チケットを購入する際に状況を理解、承認していれば自己責任ですが、そうでない場合の対応がどうなっているかを知りたいです。
こういうことが恒常的に行われているのかも調べてみます。
  • 鵺子
  • 2017/08/31 2:58 PM
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バレエ関連書籍の出版社「チャイコ」専属エディター、鵺子が仕事、バレエ、スウィーツなどについて書いています。

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アメリカで20年踊り続けた
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