La Dolce Vitaで久保さんの本が!

  • 2017.04.11 Tuesday
  • 23:28

 

バレエファンが情報収集のために欠かさず読む

La Dolce Vita」というブログがある。

無駄のない流れる文章、それでいて豊富な情報量。

鵺子も愛読している。

10日、ここで『日本バレエを変える』が紹介された。(こちら→

 

著者は筋金入りのバレットマンで、

日本だけでなく、欧米にも飛んで行き、

パリ・オペラ座バレエ、ニューヨーク・シティ・バレエなど

フレッシュな情報を仕入れてきては綴っていらっしゃる。

影響力のあるパワーブロガーだ。

取り上げていただき光栄、ありがとうございます!

 

先週8日の土曜日、知り合いのS先生

ご自分のオープンクラスを始められたので、

新宿村のそのレンタルスタジオに出かけて体験受講をしてみた。

月2回のペース、土曜午前中なので無理なく参加できそう。

可能な限り通ってみようと思う。(こちら→)

S先生はロシア国立ワガノワバレエアカデミーに留学し、

ウィーン国立劇場バレエ団で団員として踊っていらした由。

 

それにしても驚いたのは、新宿村の変わりようだ。

数年前までは、古いプレハブみたいな建物のスタジオ群だったが、

いまではそれが立派なビルの“レンタル・スタジオ・コンプレックス”。

リニューアルしたことは風の噂で聞いていたが、

これほどとは思っていなかった。

とても整然としていて、これは常にお稽古場を必要としている

ダンサーたちの強〜い味方だ。こういうところに、

日本のダンス界が変っていける可能性を見たような気がする。

 

新宿村を後にして、大江戸線中野坂上に向かう途中、

久しぶりに神田川をゆっくり眺めた。

川沿いは桜の名所なのだ。

数年前まで東中野に住んでいたので、

当時の自分や生活のことが思い出されてちょっとノスタルジック。

街の佇まいも人の生活も、ああ無常なれど、

川の流れと桜並木は変わらずそこにある。

 

 

 

 

 

皆勤賞で「プレリュード」終了!

  • 2017.04.09 Sunday
  • 22:44

 

2月から土曜クラスで受けていたヴァリエーション

プレリュード」を先週で終えた。

ショパンの曰く言い難いたおやかな曲に癒されながら、

見えないものに耳を傾け、自然と戯れるように

空気の妖精を踊る時間は至福だった。

何よりも、日常の嫌なことを忘れることができた。(こちら→)

(Youtubeはお見本にしたナタリア・マカロヴァのパフォーマンス)

 

上半身をほぼ一貫して3035度前傾して踊るのは

これまでなかったことで、興味深くもあり、難しくもあった。

前傾してもお尻を後ろに突き出してはいけない。

腰から下は真っ直ぐでなければならない。

腕の使い方もいつもと違う。空気でできた腕を

空気のなかで動かしているような透明性といえばいいだろうか。

この妖精は花の蜜を吸って生きている不思議ちゃんなのだから、

とにかく人間が踊っているように見えてはいけない。

 

最終日に先生が「最後ですから鏡を背にして踊りましょう」とおっしゃった。

脳が左右反転を自動的に行えない、ある種のハンディを抱える鵺子は

とてもビビったが、振りが完全に入っているせいか、難なくこなせた。

ステージの向きが変っても、体が左右の動きをきちんと認識していれば大丈夫。

とりあえずこれは毎週出席皆勤賞の成果で、100点、ということにしよう!

 

自分へのご褒美に、久しぶりにケーキというものを口にした。

コーヒが美味しいからとバレエ友だちに教えられた、渋谷のスタジオから

駅に向かう途中にある「星乃珈琲」のガトーショコラ。

 

 

とにかくここ2年間の多忙さで体重が4キロも増えたが

(ストレスを抱えて机に向かっている時間が長く、運動量が少ないからだ)、

それをこの1月からの減量で4キロ減らした。難しくはない。

お米の摂取を抑え、バターを使ったケーキをやめ、

甘味はお饅頭などの和菓子に切り替え、お肉と野菜は沢山いただいて、

毎日レッスンを受ければいい。

 

先週は東京でも桜が満開で、いま、他の植物も元気に葉を茂らせ、

花や実をつけ始めている。マンションの植え込みも賑やかさを増し、

まるで植物たちが聞こえない声でお喋りをしているよう。

空気の妖精を踊れるようになったからだろうか、

鵺子にも、花や実の可愛らしい囁きが聞こえてくる。

 

紫の実が愛らしい、ホソバヒイラギナンテン

 

可憐な、ユキヤナギ

 

 

踊っているときが一番幸せ!

  • 2017.03.04 Saturday
  • 05:44

 

日曜以外は毎日ワンレッスン受けて踊っている。

カロリー計算しながらの食生活も規則正しく、

体重もかなり減った。

 

1月、2月はヴァリエーションをよく踊った。

「海賊」オダリスクの第3(こちら→)

バランシンの「チャイコフスキー・パ・ドゥ・ドゥ」(こちら→)

「眠れる森の美女」オーロラ姫第3幕(こちら→)

重なって2、3月は「パキータ」のエトワール(こちら→)

レ・シルフィード」のプレリュード(こちら→)。

余裕があれば「ライモンダ」の第一幕(こちら→)も入るかも。

 

レ・シルフィード」は大好きではまっている。

空気の妖精の踊りだから、軽く軽く、静かに踊らなくてはならない。

妖精は人間ではなく、ましてや男でも女でもない不思議な存在。

そういったものになりきって踊る。これが面白く、楽しく、難しい。

上記、ご紹介したお手本はナタリア・マカロヴァで、

鵺子が大好きなバレリーナだが、こんな風に踊れたらなぁ、と思う。

 

なかなかこうはいかないから、お稽古着だけでもと、

チャコットで3年前に購入した「汚れあり現品限り」の

格安バーゲン・ロマンチックチュチュを着けてレッスンしている。

 

 

着用する機会がなく、着ないで死んじゃうかなと思っていたが、

今回有効利用できて嬉しい。気分だけは妖精なのだ。

 

でも昨日は、ちょっと私生活で嫌なことがあり、

考え事もあり、仕事も手に着かず、レッスンに行く気にもなれなかった。

こういう時はベッドにもぐりこんで本を読むに限る。

昔担当していた神永学さんの心霊探偵八雲シリーズの新刊

ANOTHER FILES 亡霊の願い』(角川文庫)

法村里絵さん翻訳の新刊『秘密だらけの危険なトリック』(創元推理文庫)

読みながらランチ後からディナータイムまで引きこもりを決めた。

死者の霊を見ることができる赤目の大学生、八雲が事件を解く。

高所恐怖症のマジシャンが事件解決に一役買う。

気分転換ができるこういう本がなかったら、この世は闇だろう。

 

文庫本をアテンドしているのはRepetto のバレリーナねずみ。アンティークものだ。

 

読み終えたら心の欝々は消えていた。

このまま寝ていたらせっかくのシェイプアップもとろけてしまう。

ベッドから抜け出し、嬉々として夜の最終レッスンに走った鵺子であった。

 

 

 

NBAバレエ団「ロミオとジュリエット」

  • 2017.02.26 Sunday
  • 22:13

 

この土日、二日続けて東京文化会館に出かけ、

ファンクラブのプレミア会員になっているNBAバレエ団

ロミオとジュリエット」を観た。

 

プログラムの表紙

 

初日のジュリエットがプリンシパルの峰岸千晶。ロミオはマリインスキーの

プリンシパル、ウラジーミル・シクリャローフのゲスト出演。

二日目はソリスト大抜擢で、竹内碧のジュリエットと宮内浩之のロミオだった。

ソリストでも主役を張れる力量を持っているバレエ団だからこその配役といえる。

演じるダンサーが日替わりなので、比較吟味しながらのオタク的鑑賞ができた。

 

音楽はプロコフィエフがシェイクスピアの戯曲構成に沿って作曲。

振付は原作の意図を尊重したマーティン・フリードマン版

話の展開が自然でわかりやすく、シェイクスピア翁を読んでいるようだ。

安藤基彦による垂れ幕背景画、装置は14世紀ヴェローナの香りを映し出し、

ダンサーたちが踊り、闘い、演じると、それは狷阿ルネサンスの名画瓠

冨田実里の指揮するロイヤルチェンバーオーケストラの楽の音は美しくも悲愴で、

文学・音楽・絵画が三位一体化した芸術を味わっているような時間を味わった。

 

NBAバレエ団の飛躍は目覚ましい。

芸術監督・久保綋一は、怖いもの知らずの挑戦を続けている。

公演演目は斬新で見飽きることがない。

ところで、彼の著書『日本バレエを変える ─コーイチ・クボの挑戦─』

電子書籍にもなった。Amazon.jpKindleストアでダウンロード購入できる。

写真も付録動画も紙の本同様。ご関心ある向きはお試しあれ(こちら→)。

 

 

「パリ・オペラ座へようこそ」

  • 2017.01.30 Monday
  • 03:08

 

1ヵ月ぶりぐらいのブログ更新だ。

日本バレエを変える』の刊行から1ヵ月半が過ぎた。

チャイコの作品としてはまずまずの売れ行きなので

まずは一安心──ということで日曜以外毎日踊っている。

ワンレッスン1.5時間だけだが、「毎日」というのが大切だ。

前日、先生に注意されたことを

翌日、忘れず意識して踊るから上手になる。

 

レッスンの合間にけっこう外出もするので忙しい。

独りで頑張っている老母を実家に訪ねたり、

妹二人も交えて食事会をしたり、

古巣の同僚が退職するのでお祝いディナーをしたり、

日本バレエ協会の公演「ラ・バヤデール」を観たり、

Angel R」で久保先生に師事している有志で新年会をしたり。

 

仕事もしている。預り源泉税の振込をしたり、

翻訳エージェントに作品の売り上げ報告をしたり、

日本バレエを変える』キンドル版の打ち合わせをしたり、

次の本の仕込みもやっている。

しかし、今月一番大変だったのは、

久保さんの本でお世話になった国内・国外・アメリカの方々への献本作業。

ざっと50人。皆さんのおかげでこの本は完成した。

 

本も読んだ。『パリ・オペラ座へようこそ 〜魅惑のバレエの世界〜

 

 

舞踊評論家・渡辺真弓さんが青林堂から出された新刊だ。

1991年から15年もパリで生活し、パリ・オペラ座の

16シーズンを観続けてきたベテランならではの

パリ・オペ百科事典みたいな一冊だ。

渡辺さんはもしかしたらヌレエフのファンだろうか。

ヌレエフやその作品について割かれたページが多い。

いや、この名門バレエ団の芸術監督として君臨した彼の功績が

それだけ大きかったということなのだろう。いずれにしても、

鵺子はヌレエフ・ファンなのでものすごく嬉しく、参考になった。

 

それにしてもつくづく思うのだ。フランスには

パリ・オペラ座という確固たる国立バレエ団があり、

選ばれし子供たちだけが一貫した訓練を受ける付属バレエ学校があり、

団員になるとサラリーがきちんともらえる生活が待っている。

久保さんの『日本バレエを変える』と合わせて読むと、

鵺子は日本vs.フランスの違いに慄然とする。

 

今週末、山の家に来たら、車庫の軒下に

ものすごく長く大きなお化けみたいな氷柱ができていて驚いた。

 

 

昼間は屋根に積もった雪がゆっくり溶けて垂れ落ちるが

夜間は酷寒なのでたちまちのうちにまた凍る。

その繰り返しでこんなお化けになってしまう。

どう見ても1.5メートル以上あるだろう。

折らないでいつまでも残しておこう。

 

 

初日の出に思うこと

  • 2017.01.01 Sunday
  • 19:28

 

大晦日にわりと早く就寝したせいで

元旦の朝、美しい初日の出を見ることができた。

 

 

やはり清々しい気持ちになる。

ご利益のありそうな新年の始まりだ。

 

ゆっくり過ごしているのでテレビをよく観ている。

NHKBS1の「奇跡のレッスン」がよかった。

2003年世界フィギュアスケート選手権の

アイスダンスチャンピオンで、カナダ出身の

シェイ=リーン・ボーンさんが日本の子供スケーターに

特別レッスンを行うドキュメンタリーだ。

 

ボーンさんは現在コーチ、振付家として各国で活躍し、

羽生結弦、高橋大輔、鈴木明子などとも仕事をしているが、

内向的で感情表現が下手な日本の子供たちの心を開き、

賞獲りの競争ではなく、観客を楽しませ、自らも

氷上で自己解放できるスケーターになって欲しい、

と教えている姿に共感した。

 

バレエレッスンにも通じる教えが多い番組だった。

今年はvariationをたくさん踊るつもりでいる鵺子も、

課題作品に自分なりのストーリーを作り、感情を表現し、

観客にアピールするように踊ろうと決めたのだった。

 

 

久保綋一さんの半生記

  • 2016.08.06 Saturday
  • 23:29

 

先週木曜日、新所沢のNBAバレエ団に最後の取材をしに出かけた。

11月に刊行予定している、芸術監督・久保綋一さんの半生記の

原稿最終確認をさせていただくためだ。

 

到着すると、来年2月の公演作品「ロミオとジュリエット」(こちら→)

の通し稽古が始まっていたので見学させていただくことにした。

久保さんがコロラド・バレエ団でプリンシパルとして踊っていたときの

最初の芸術監督で、「ロミジュリ」の振付家でもあるM・フリードマン氏が

ステージングのために6週間前から来日していたが、

この日がラストデイということもあっての通し稽古だった。

 

ロミオとジュリエット

 

東京シティバレエ団の監督・中島伸欣さんも見学していらしたが、

中島さんは33年前に作られたこの「ロミジュリ」の初代ロミオで、

フロリダのタンパ・バレエ団で踊ったというご縁なのだそうだ。

拝見していると、振付の素晴らしさはさるものの、

ダンサーたちの演技に人間としてのリアリティがあると感じられた。

これは、シェイクスピアが「ロミオとジュリエット」の舞台に設定した

14世紀のヴェローナ(イタリア)の女性たちは14歳で結婚し

子供を産むのがふつうなほどに成熟していたという史実に則って、

よくありがちな、無垢なティーンエイジャー男女の恋愛悲劇

としての解釈を退けたフリードマン氏の演出法に関係しているようだ。

 

ジュリエット役はプリンシパルの峰岸千晶と

ソリストの竹内碧のダブルキャストだが、

この日のリハを通しで演じた峰岸をフリードマン氏は絶賛。

「チアキは作品をよく理解し演じている」

フリードマン氏の隣に座る中島伸欣さんを見ると目に涙を浮かべていらした。

「昔を思い出し、ぼくも作品のなかに入り込んじゃって……」

実は、千晶さんの迫真の演技に鵺子の涙腺も弛んでいた。

来年2月の本番が超楽しみだ。

 

リハを終えて記念撮影。前列中央フリードマン氏の右がバレエミストレス・野田美礼、

左が芸術監督・久保綋一。

 

久保さんの半生記だが、いま写真のレイアウトと本文推敲に手間取っている。

使用したい写真についてコロラド州デンバーのカメラマンから

未返信なのもあるが、連絡がなければ諦めるしかない。

 

今回の本は、25年前に渡米し、あちらで踊り続けたダンサーの

生誕から現在にいたる44年を辿る内容なので取材が煩雑だ。

日本国内は愛知県、長野県、京都など、アメリカは

コロラド州の関係者にも電話インタビューしたし、

フリードマン氏には来日のたびに長時間お話をうかがってきた。

写真の被写体になっている人物には使用許可を得る。

通算1年半に及ぶ作業をよくやってきたと鵺子は我ながら感心する。

 

先日、久保さんが1213歳のときに師事した天才ダンサー、

中村友武先生(故人)のお嬢さんにお会いして、写真を拝借することができた。

中村先生は久保さんのバレエ人生に大きな影響を与えた人物で、

この方を抜きにしては久保さんの半生は語れない。

 

中村先生の写真を入手するには、当時、新宿村にあった

「中村友武バレエ研究所」に出入りしていたお弟子さんで、

現在ニュージーランドの大学で教授をしている人物にたどり着き、

その方を経由して中村先生のお嬢さんに連絡が取れたという塩梅。

 

肝心かなめのお写真をお借りした後、ほっとして東京駅前の

新丸ビルB1Fにある「和カフェあんと」に入り(こちら→)

今年初めての、念願の、かき氷をいただいた。

ちょうど前日に、日本TVの情報エンタメ番組「ZIP!」で

こちらの富士山天然水を使った南高梅果肉たっぷり特製かき氷が

紹介されたそうで、店内は満員だったが、

ほどなくして着席でき、口にしたのがご覧の季節限定の逸品。

 

 

宇治抹茶とはまた違う、淡いグリーンの梅のジュレとジャージーミルクの、

爽やかに甘酸っぱい、鵺子生れて初めての青梅味かき氷だ。

 

NBA「死と乙女」vs. 麻実れい「8月の家族たち」

  • 2016.05.28 Saturday
  • 17:11


今週は仕事の合間をぬってバレエとお芝居を鑑賞した。

27日、金曜日はNBAバレエ団の公演『死と乙女』@北とぴあ。




年会費1万円でファンクラブのプレミア会員になっているので

15時からのゲネプロの見学を特別に許された。

ダンサーたちが本番さながらステージで踊り、

照明、音響担当者たちが調整をし、

芸術監督、振付家が注意を出していく──。

 

第一幕は、林英哲のソロと、

英哲風雲の会・俊英4人が加わってのアンサンブル。

躍動し、汗に光る太鼓マンたちの引き締まった筋肉。

武道の作法に則ったような、統制のとれた美しいバチさばき。

飛び上がり、着地の瞬間に太鼓を打つ見事なアクション。

雄々しい叫び声。彼らは奏者であり舞者でもあった。
 

 

第二幕は、何度観ても見飽きない「ケルツ」。

アイルランド音楽の旋律に乘って、

戦争が続いたケルト民族の歴史から生まれ出る情感を、

茶、赤、緑の衣裳で区別された男女のメインダンサーたちが、

それぞれ、大地の哀しみ、血の叫び、自然の躍動なのだろうか、

群舞を従え絶え間なく踊り続ける。

象徴的に挿入される男子6人による〈闘士の踊り〉は

今回の特別バージョンとして英哲風雲の会による

和太鼓のリズムに乘って繰り広げられた。これが凄い。

ダンサーと太鼓マンが溶け合い一体になっている。

そこに大和民族とケルト民族の精神のハーモニーを見た。
 

そして第三幕、舩木城・振付の新作「死と乙女」。作曲はあの新垣隆。

演奏はピアノ・新垣と和太鼓・英哲、天才ふたりのセッションなのだ。


 

観る側の思考を拒絶する不思議な音楽とバレエが始まった。

理解しようとする力がするりと抜けていく。

ステージに吸い込まれるように聴いて観ている自分がいるだけ。

意表を突くダンサーたちの動き、痙攣、顔の表情、

それによって伝わってくる不可解なエロスと死の世界。

唐突に発せられる狂気じみた乙女の笑い、悲鳴、怒号、

そして思わず笑えてしまう愛らしくもナイーブな仕草。

 

そう、「死」は理解不能で、突然あるいはゆっくりやって来て、

滑稽だし、醜くもあり、だけどそんなことどうでもいいのであって、

なぜにプロダンサーの肉体は、ストーリー性を排除した舩木の新作を

こんなにも演劇的に踊ることができるのだろう──

と思考が戻りかけたところで、はたとバレエは終わり、

場内はブラボーと拍手喝采の嵐に包まれていたのだった。

 

友人と鵺子の席は最前列のかぶりつきで、

ダンサーや太鼓マンの動きも表情も汗もよく見えた。

プレミア会員の特権で、早期予約の良い席がとれたのだ。

生の舞台はかぶりつきに限る。

 

この週の火曜日、鵺子はターコさん(麻実れい)主演の

芝居「8月の家族たち」@シアターコクーンも最前列で観た。

これは「麻実れい後援会」に入っている役得で、

幹事さんが後援会わくで良い席を確保してくれたのだ。

名古屋から駆けつけた友人と一緒に観劇したのだが、

目のすぐ真ん前で生身の役者たちが演技するのだから大感動。

家族たちの痴話喧嘩が高じて皆でお皿を床に叩きつける場面では

プラスチックのその破片がこちらまで飛んで来るので、

鵺子は舞台の役者さんと一緒に「キャー! ギャー!」と叫んでいた。


 

8月の家族たち」はピューリッツァー賞戯曲部門&

トニー賞最優秀作品賞などを獲得しているトレイシー・レッツの傑作で、

メリル・ストリープとジュリア・ロバーツ共演で映画にもなっている。

ターコさんは、口腔ガン、脳に損傷あり、

痛み止めから始まる様々なドラッグの中毒になっていて

おまけに認知症も出ている、3人の娘たちから見放された

悲劇的な未亡人という難しい役どころを見事にこなしていた。

5月7日から29日まで、約3週間演じ続けている。

 

「ねえ、出待ちしたいね」と友人と示し合せ、

終演後、劇場の楽屋出口に行ってみたら、

幹事さんやベテランファンのかたが数名いたので

チケットの手配御礼など口にしながら待っていたら、

ラフなジーンズファッションでターコさんが出て来た。

 

舞台でのお姿とは打って変わってリラックスした様子で、

「お疲れ様でした!」と二人して伝えると、

そっとこちらをみてあの例のアルカイックなスマイル。


 

それから幹事さんたちと話しながら駐車場へ向かうので、

金魚の糞みたいに後についていくと、ややあって、振り返ってくださり

「だいじょうぶ?」とおっしゃるので、なにがだいじょうぶなのか

わからないけど、「はい!」と口を揃えるミー&ハー。

そして駐車場から黒のベンツを運転して颯爽と出て来たターコさんを

皆で見送ったのであった。

 

いや、しかし、やはり舞台物はDVDや映画ではなくナマがいい。

それもできれば良い席で。

NBAのファンクラブに入るといろいろな特典がある。

ご関心のある向きはどうぞ(こちらへ→)

死と乙女」は29日、日曜日も2公演ある。

 

ライトアップと花火とNBAの「くるみ割り人形」

  • 2015.12.04 Friday
  • 23:26

ヌエコはライトアップの季節が好きだ。
街はどこもかしこも光り輝いて
寒くても外を歩くのが楽しい。

昨夜、レッスン帰りに南青山五丁目の
「Dries Van Noten」のブティック前を通りかかったら
ルビーやエメラルドでお洒落をしているような、
そんなに華美じゃないツリーを見つけた。

 


 

先週から仕事に追われる怒涛の日々で、
blogも休載してしまったくらいだから
ミッドタウンや新宿サザンテラスや丸の内の
絢爛豪華なイリュミネーションにはまだ行けてないが、
一本の木に静かにちらちら輝いているこんなのもいい。

 

先々週、勤労感謝の日の連休を
仕事を抱えて山の家で過ごしていたら、
晩秋の夜空を彩る花火が打ち上げられて
これもまたライトアップの類でいと美しかった。
人間はそもそも闇に輝くものを見ると
心が浮き立つ生き物なのではないだろうか。

 


 

先週土曜夜は仕事から抜け出して池袋の芸術劇場で
NBAバレエ団の「くるみ割り人形」を観た。
終演後、ダンサーたちがロビーでファンにお願いされて
きらきら点滅するクリスマスツリーのまえで撮影に応じていた。
金平糖の精を華麗に踊ったプリンシパルの峰岸千晶さんと
カバリエールを頼もしく踊った三船元維さん──
おふたりもステージでライトアップしていた。

 

このシーズンはやっぱり「くるみ割り人形」だ。
NBA版はダンサーたちが和やかでアットホームで
温かい雰囲気のなかで繰り広げられるので楽しい。

ヌエコはことのほか雪の国のシーンが好きで、
白い雪が舞い散るなか、白く輝く雪の精の群舞にまじり、
あちらの夢の世界に行ってしまいたくなる。
毎回、呆けたように我を忘れて観ている。
仕事であっぷあっぷしているときには
こんな時間が必要だ。

 

NBAは5月に新作「死と乙女」を公演する。(こちら→)
 


 

あの佐村河内守氏のゴーストライターとして脚光を浴びた
新垣隆の作曲とピアノ演奏、
太鼓奏者・林英哲と英哲風雲の会の和太鼓、
気鋭の舩木城の振付で繰り広げられる
世界初演作──との触れ込みだ。
「HIBARI」に続くNBAのジャパネスク、
どんな作品になるのだろう。

 

アイルランドの民族舞踊をモチーフにした
「ケルツ」も抱き合わせ上演される。
じつは「ケルツ」はヌエコの大のお気に入りで、
哀歓漂うアイルランド音楽の旋律を聴きながら
激しい動きと高度なテクニックで舞う
ダンサーの肉体を鑑賞していると
こちらも血沸き、肉躍る。

 

あんなふうに踊りたい。
いや、観るだけでいい、それほど激しいのだ。
5月が待ち遠しい。

 


 

牧阿佐美バレエ団の助成金問題

  • 2015.10.09 Friday
  • 23:05


今週木曜は、長い友人歴のトリオで
一年ぶりの女子会を楽しんだ。
会場はヌエコの古巣、新潮社がオーナーになっている
神楽坂の「ラ・カグ」のなかのカフェ。(こちら→)   


倉庫を改造した「ラ・カグ」は天井が高く、
スペース的にゆったりしていて、
若いお母さんたちが赤ちゃんをバギーに乗せたまま
ソファー席でお茶を楽しんでいたりする。
子供の声も気にならない。

 

気になるとすれば、ヌエコが最近ノートパッドを持ち歩き、
外でもYouTubeでターコさん(麻実れい)やバレエの動画を観ているので、
それを友人に見せながら盛り上がっていたときの嬌声だろう。

 


 



トリオのY子さんは昔、ヌエコにバレエの手ほどきをしてくれた人で、
いまはフラメンコと太極拳をやっているのだが、
カルメンの画面を彼女に見せて、
「これ、これなんだけど、こんな風に脚を上げても
背中が丸まらないようにするのはどうするのかしら?」と訊くと、
「お尻、つまり尾てい骨をぐっと下げるのよ」とのご託宣。
「お腹をぐっと引っ込めたまま、尾てい骨をぐっと下げるの?」
「そう、それと前後開脚ストレッチも十分行なって、
無理なくバトマンできるようにならないとね」

 

よし、前後開脚を今夜から真剣に頑張らねば!──
 

そうヌエコは決めたのだった。
 

それから日本のバレエ界のことをあれこれ話している最中、
「ねえ、牧阿佐美バレエ団が助成金で問題になったわね」
とT子さんが言った。
「え? 知らない、何があったの?」
Y子さんもヌエコもびっくりした。
「ちょっと前、いつだったか、新聞に出てたわよ」とT子さん。
彼女は日頃からよく紙の新聞を読む人で、世の中の動きに通じている。


「それって、大変なことじゃない?
牧さんは新国立劇場バレエ団にも大きく拘わっているでしょ」
ヌエコはなんだか嫌な気分になってきた。
いったい、日本のバレエ界に未来はあるのだろうか?

 

トリオは四時に「ラ・カグ」を出ると、
神楽坂を飯田橋に向かって散策した。
新しいレストランやカフェが増えている。
同僚とよく行った画廊兼簡易食堂がなくなっていた。
本屋がいま流行りのカフェ併設にお色直ししていた。
神楽坂も店の入れ替わりが激しい。

 

T子さんとは飯田橋で別れ、
Y子さんとは新宿でさよならをして、ヌエコはサブナードの
バレエショップ「シルビア」で買物をした。
ポアントのトウパッドと白と黒のゴム紐、
踊ってみたいヴァリエーション曲が入っているCD二枚、それと
マクミラン版「マノン」全幕のCD。

 

このところヌエコは、男が女のために身を亡ぼす
“ファム・ファタル”ものに惹かれている。
お姫様や可愛い女の子が主役のバレエではなく、
人間のドロドロ状態が踊りで表現されている作品だ。
マノン」も「カルメン」も原作は小説で、
それがどのようにバレエ化されているのかにも興味がある。

 

帰宅して、牧阿佐美バレエ団の助成金問題をネットで調べたら、
八月二十八日付の日本経済新聞と
バレエニュースダイジェストの記事がひっかかってきた。

 

牧阿佐美バレエ団を運営する「公益財団法人橘秋子記念財団」が、
日本芸術文化振興会の助成金で製作した美術装置を無断売却。
それも製作費は1488万円だったのに、売却額が2319万円。
831万円儲けていたという醜聞なのだ。
その美術装置は2009年公演「白鳥の湖」のものだった。

 

それだけじゃない。
2008年から2010年度までに、
衣装のレンタル費用の助成を受けておきながら、
合計十一件の公演について支払いの証拠書類が確認できない。
よって「橘秋子記念財団」は文化庁と日本芸術文化振興会に
助成金と加算金計約6700万円を返還することになっている。
しかも罰として、今後五年間は助成金を受けられない──。

 

日本のバレエ団は助成金を受けて公演を行っている。
助成金がなければ活動ができないのが現状だ。
バレエ団と称しているところで助成金を受けていないのは
熊川哲也のKバレエカンパニーくらいだろう。

 

牧阿佐美バレエ団はこの九月に「くるみ割り人形」を済ませ、
十月は「ジゼル」と「牧神の午後」、
来年二月に「白鳥の湖」を公演する予定になっている。

バレエ団のHPを覗くと(こちら→)
八月三十一日付で次のような文章が掲載されていた。

 

「牧阿佐美バレヱ団を応援して頂いている皆様へ
 
今回の新聞報道につきまして、ご迷惑、ご心配をおかけして
申し訳ありませんでした。

今回の件は、組織的・個人的な不正は無く、事務手続上の
不備によって生じたものであります。

牧阿佐美バレヱ団の公演は今後とも実施してまいりますので、
今までにも増してご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。」

 

八月二十八日の日本芸術文化振興会による報道発表を読んでみたら、
なんと芸術監督への支払いが
平成二十一年と二十二年度における八つの活動で
実際の支払額が振興会に報告された額を下回っていたともいう。

 

どこのバレエ団も台所は火の車と聞くが、
助成金は私たちの税金が資金源なのだから、きちんとしてもらいたい。
それにしても、牧阿佐美バレエ団は今後五年間、
助成金無しでどうやって公演を続けていくのだろう。
お手並み拝見、といったところだ。

 

なんだかショッパイ話になってしまった。
エンディングはスイートに終わりたい。
ラ・カグ」でヌエコが食べたデザートをご紹介する。
自家製ブラウニーのバニラアイス添え。





 

コーヒーとの相性が抜群だし、
アイスは脂肪分少な目で、安心していただけた。


 

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