松山バレエ団の「ロミオとジュリエット」

  • 2017.05.08 Monday
  • 04:43

 

黄金週間は個人的にバレエ・イベントが続いた。

まず3日には、渋谷の文化村B1Fにある「ドウ マゴ パリ」で

妹とお喋りをしながら軽いランチを済ませたのち、

松山バレエ団の「ロミオとジュリエット」を

オーチャードホールで鑑賞した。

 

松山バレエ団「ロミオとジュリエット」のプログラム

 

同じ演目でも、バレエ団によって作品性が異なるのは当然だが、

松山バレエ団のロミジュリは実に独特だった。

 

ステージで踊るダンサーの数の多さと迫力に圧倒させられた。

そのダンサー動員力が、ヴェローナの広場で繰り広げられる

キャピュレット家とモンタギュー家の諍いをより凄惨なものに、

渦巻く民衆のエネルギーをダイナミックに表現していた。

それは、キャピュレット家の仮面舞踏会に集う上流階級の人々の

絢爛豪華な傲慢と興奮を増幅して見せる効果をも受け持っている。

舞台全体が人間の業を内包する情念に満ちた生の営みの証なのである。

そんな喧噪と華美の中にぽつんと佇み見つめ合うからこそ、

ロミオとジュリエットの純愛が儚く美しく立ち上がる。

 

森下洋子ジュリエットは、

刑部星矢(ぎょうぶ・せいや)ロミオの愛に包まれ可憐に踊っていた。

華奢なジュリエットとの身長差50僉福?)にも見える偉丈夫のロミオ。

稀に見る組み合わせ、松山バレエ団だからこそのユニークさだ。

 

鑑賞後、ロビーラウンジでティータイムと洒落込んだ。

 

アールグレイのシフォンケーキをアールグレイの紅茶でいただく。とても上品なマリアージュ。

 

ミーハーな姉妹の話題はもっぱら、チャーミングな洋子さんと

欧米のダンサーに伍していける肉体を持つ星矢さん(28 )のこと。

彼は6歳から清水哲太郎&森下洋子夫妻に師事してきた生え抜きで、

頭と体のバランス、つまりプロポーション抜群で舞台映えがする。

松山バレエ団の犂望の星だ。

こんなダンサーが日本にもいることが嬉しい。

 

 

 

「眠れる森の美女」のパ・ド・ドゥに挑戦

  • 2017.04.23 Sunday
  • 00:38

 

4月から月曜夜、S先生のパ・ド・ドゥのクラスをとっている。

3年前、3カ月ほどこの基礎クラスを受講していたが、

発表会や久保綋一さんの『日本バレエを変える』の仕事で

レッスンに行けなくなり断念していた。

 

再開のきっかけはS先生が今月、2日だけ臨時ワークショップで

眠れる森の美女」第3幕パ・ド・ドゥ(こちら→冒頭の5分)

やってくださることになり、それに参加するために急遽、

月曜夜の基礎に復帰したというわけだ。

男子と踊るなんて、自分は協調性のない性格だし、

好きなように一人で動いているほうが性に合っているのだが、

最近、barre → floor → variationだけじゃない何かを

やってみたいと考えていたのでちょうど良かったということもある。

 

「眠り」のワークショップの1日目は、

振りが入ってないまま参加したので、見様見真似の右往左往で終わり。

2週間後の2日目はYoutubeで研究して臨んだので、前回よりは増し。

少しずつでもできるようになると楽しい。ぜひこれはモノにしたい。

パートナーを平手打ちしたり、蹴飛ばしたり、

肩にそっと手を置くべきなのに首根っこをギュッと掴んだりしないよう

(鵺子はこれを2回やって先生に注意された由)、精進しよう!

 

18日夜、日本橋のマンダリンオリエンタルホテル38階のラウンジで、

ニュージーランドから出張で帰国していた宮原資英さんにお会いした。

新宿村で中村友武先生に師事していた15歳の久保綋一さんをご存じで、

綋一さんと一緒に中村先生のレッスンを受けていたお方。

『日本バレエを変える』で貴重なコメントをいただいた。

 

先約がある宮原さんがいらっしゃる前、夜景を見ながらオーストラリアワインを飲んでみた。すごく美味しい!

 

宮原さんはNZ在住30年、オタゴ大学体育学部准教授でいらっしゃる。

どんな御仁かとそわそわした気分でお待ちしていたのだが、

現れたご本人はざっくばらんで気さくな好男子。

しかも、予想だにしていなかった偉丈夫で、

思わず「ずいぶんと背がお高いのですね!」と口にしてしまった。

「ええ、184センチあります」とのお応えで、

アメリカでの留学時代に182センチになり、

NZでさらにまた伸びたのだそうだ。

 

身長の話から始まったせいか、互いにすっかり打ち解けて、

初対面なのに話が尽きることがない。

──宮原さんもまだ続けているバレエのこと

──パ・ド・ドゥのこと(彼は昔、ジャズダンスで女子をリフトしたことがあるそうな)

──運動学的に不器用な子供のこと(彼の専門分野。鵺子も不器用なので興味津々)

──NZにも国立バレエ団があり、当然ダンサーは給料・年金ありということ

などなど、共通の話題が盛りだくさんだった。

 

12月の再来日のときに再会をと約し、お別れをした。

帰途、地下鉄・三越前駅から銀座線の改札に向かおうとしたら、

新国立劇場バレエ団のポスターが目に飛び込んで来たのでびっくり!

 

 

すごい! なんと、通っているAngel Rの先生方も写っているのだ。

例のパ・ド・ドゥ・クラスのS先生、ポアント・クラスのS・Y先生、

Angel Rの大きな発表会で総指揮をとっていらっしゃるY・M先生も。

しかもポスターの写真は5月公演の「眠れる森の美女」。奇遇だ!

こ、これは、パ・ド・ドゥのレッスンを頑張りましょう、

という神のお告げかもしれない?

 

 

La Dolce Vitaで久保さんの本が!

  • 2017.04.11 Tuesday
  • 23:28

 

バレエファンが情報収集のために欠かさず読む

La Dolce Vita」というブログがある。

無駄のない流れる文章、それでいて豊富な情報量。

鵺子も愛読している。

10日、ここで『日本バレエを変える』が紹介された。(こちら→

 

著者は筋金入りのバレットマンで、

日本だけでなく、欧米にも飛んで行き、

パリ・オペラ座バレエ、ニューヨーク・シティ・バレエなど

フレッシュな情報を仕入れてきては綴っていらっしゃる。

影響力のあるパワーブロガーだ。

取り上げていただき光栄、ありがとうございます!

 

先週8日の土曜日、知り合いのS先生

ご自分のオープンクラスを始められたので、

新宿村のそのレンタルスタジオに出かけて体験受講をしてみた。

月2回のペース、土曜午前中なので無理なく参加できそう。

可能な限り通ってみようと思う。(こちら→)

S先生はロシア国立ワガノワバレエアカデミーに留学し、

ウィーン国立劇場バレエ団で団員として踊っていらした由。

 

それにしても驚いたのは、新宿村の変わりようだ。

数年前までは、古いプレハブみたいな建物のスタジオ群だったが、

いまではそれが立派なビルの“レンタル・スタジオ・コンプレックス”。

リニューアルしたことは風の噂で聞いていたが、

これほどとは思っていなかった。

とても整然としていて、これは常にお稽古場を必要としている

ダンサーたちの強〜い味方だ。こういうところに、

日本のダンス界が変っていける可能性を見たような気がする。

 

新宿村を後にして、大江戸線中野坂上に向かう途中、

久しぶりに神田川をゆっくり眺めた。

川沿いは桜の名所なのだ。

数年前まで東中野に住んでいたので、

当時の自分や生活のことが思い出されてちょっとノスタルジック。

街の佇まいも人の生活も、ああ無常なれど、

川の流れと桜並木は変わらずそこにある。

 

 

 

 

 

皆勤賞で「プレリュード」終了!

  • 2017.04.09 Sunday
  • 22:44

 

2月から土曜クラスで受けていたヴァリエーション

プレリュード」を先週で終えた。

ショパンの曰く言い難いたおやかな曲に癒されながら、

見えないものに耳を傾け、自然と戯れるように

空気の妖精を踊る時間は至福だった。

何よりも、日常の嫌なことを忘れることができた。(こちら→)

(Youtubeはお見本にしたナタリア・マカロヴァのパフォーマンス)

 

上半身をほぼ一貫して3035度前傾して踊るのは

これまでなかったことで、興味深くもあり、難しくもあった。

前傾してもお尻を後ろに突き出してはいけない。

腰から下は真っ直ぐでなければならない。

腕の使い方もいつもと違う。空気でできた腕を

空気のなかで動かしているような透明性といえばいいだろうか。

この妖精は花の蜜を吸って生きている不思議ちゃんなのだから、

とにかく人間が踊っているように見えてはいけない。

 

最終日に先生が「最後ですから鏡を背にして踊りましょう」とおっしゃった。

脳が左右反転を自動的に行えない、ある種のハンディを抱える鵺子は

とてもビビったが、振りが完全に入っているせいか、難なくこなせた。

ステージの向きが変っても、体が左右の動きをきちんと認識していれば大丈夫。

とりあえずこれは毎週出席皆勤賞の成果で、100点、ということにしよう!

 

自分へのご褒美に、久しぶりにケーキというものを口にした。

コーヒが美味しいからとバレエ友だちに教えられた、渋谷のスタジオから

駅に向かう途中にある「星乃珈琲」のガトーショコラ。

 

 

とにかくここ2年間の多忙さで体重が4キロも増えたが

(ストレスを抱えて机に向かっている時間が長く、運動量が少ないからだ)、

それをこの1月からの減量で4キロ減らした。難しくはない。

お米の摂取を抑え、バターを使ったケーキをやめ、

甘味はお饅頭などの和菓子に切り替え、お肉と野菜は沢山いただいて、

毎日レッスンを受ければいい。

 

先週は東京でも桜が満開で、いま、他の植物も元気に葉を茂らせ、

花や実をつけ始めている。マンションの植え込みも賑やかさを増し、

まるで植物たちが聞こえない声でお喋りをしているよう。

空気の妖精を踊れるようになったからだろうか、

鵺子にも、花や実の可愛らしい囁きが聞こえてくる。

 

紫の実が愛らしい、ホソバヒイラギナンテン

 

可憐な、ユキヤナギ

 

 

踊っているときが一番幸せ!

  • 2017.03.04 Saturday
  • 05:44

 

日曜以外は毎日ワンレッスン受けて踊っている。

カロリー計算しながらの食生活も規則正しく、

体重もかなり減った。

 

1月、2月はヴァリエーションをよく踊った。

「海賊」オダリスクの第3(こちら→)

バランシンの「チャイコフスキー・パ・ドゥ・ドゥ」(こちら→)

「眠れる森の美女」オーロラ姫第3幕(こちら→)

重なって2、3月は「パキータ」のエトワール(こちら→)

レ・シルフィード」のプレリュード(こちら→)。

余裕があれば「ライモンダ」の第一幕(こちら→)も入るかも。

 

レ・シルフィード」は大好きではまっている。

空気の妖精の踊りだから、軽く軽く、静かに踊らなくてはならない。

妖精は人間ではなく、ましてや男でも女でもない不思議な存在。

そういったものになりきって踊る。これが面白く、楽しく、難しい。

上記、ご紹介したお手本はナタリア・マカロヴァで、

鵺子が大好きなバレリーナだが、こんな風に踊れたらなぁ、と思う。

 

なかなかこうはいかないから、お稽古着だけでもと、

チャコットで3年前に購入した「汚れあり現品限り」の

格安バーゲン・ロマンチックチュチュを着けてレッスンしている。

 

 

着用する機会がなく、着ないで死んじゃうかなと思っていたが、

今回有効利用できて嬉しい。気分だけは妖精なのだ。

 

でも昨日は、ちょっと私生活で嫌なことがあり、

考え事もあり、仕事も手に着かず、レッスンに行く気にもなれなかった。

こういう時はベッドにもぐりこんで本を読むに限る。

昔担当していた神永学さんの心霊探偵八雲シリーズの新刊

ANOTHER FILES 亡霊の願い』(角川文庫)

法村里絵さん翻訳の新刊『秘密だらけの危険なトリック』(創元推理文庫)

読みながらランチ後からディナータイムまで引きこもりを決めた。

死者の霊を見ることができる赤目の大学生、八雲が事件を解く。

高所恐怖症のマジシャンが事件解決に一役買う。

気分転換ができるこういう本がなかったら、この世は闇だろう。

 

文庫本をアテンドしているのはRepetto のバレリーナねずみ。アンティークものだ。

 

読み終えたら心の欝々は消えていた。

このまま寝ていたらせっかくのシェイプアップもとろけてしまう。

ベッドから抜け出し、嬉々として夜の最終レッスンに走った鵺子であった。

 

 

 

NBAバレエ団「ロミオとジュリエット」

  • 2017.02.26 Sunday
  • 22:13

 

この土日、二日続けて東京文化会館に出かけ、

ファンクラブのプレミア会員になっているNBAバレエ団

ロミオとジュリエット」を観た。

 

プログラムの表紙

 

初日のジュリエットがプリンシパルの峰岸千晶。ロミオはマリインスキーの

プリンシパル、ウラジーミル・シクリャローフのゲスト出演。

二日目はソリスト大抜擢で、竹内碧のジュリエットと宮内浩之のロミオだった。

ソリストでも主役を張れる力量を持っているバレエ団だからこその配役といえる。

演じるダンサーが日替わりなので、比較吟味しながらのオタク的鑑賞ができた。

 

音楽はプロコフィエフがシェイクスピアの戯曲構成に沿って作曲。

振付は原作の意図を尊重したマーティン・フリードマン版

話の展開が自然でわかりやすく、シェイクスピア翁を読んでいるようだ。

安藤基彦による垂れ幕背景画、装置は14世紀ヴェローナの香りを映し出し、

ダンサーたちが踊り、闘い、演じると、それは狷阿ルネサンスの名画瓠

冨田実里の指揮するロイヤルチェンバーオーケストラの楽の音は美しくも悲愴で、

文学・音楽・絵画が三位一体化した芸術を味わっているような時間を味わった。

 

NBAバレエ団の飛躍は目覚ましい。

芸術監督・久保綋一は、怖いもの知らずの挑戦を続けている。

公演演目は斬新で見飽きることがない。

ところで、彼の著書『日本バレエを変える ─コーイチ・クボの挑戦─』

電子書籍にもなった。Amazon.jpKindleストアでダウンロード購入できる。

写真も付録動画も紙の本同様。ご関心ある向きはお試しあれ(こちら→)。

 

 

「パリ・オペラ座へようこそ」

  • 2017.01.30 Monday
  • 03:08

 

1ヵ月ぶりぐらいのブログ更新だ。

日本バレエを変える』の刊行から1ヵ月半が過ぎた。

チャイコの作品としてはまずまずの売れ行きなので

まずは一安心──ということで日曜以外毎日踊っている。

ワンレッスン1.5時間だけだが、「毎日」というのが大切だ。

前日、先生に注意されたことを

翌日、忘れず意識して踊るから上手になる。

 

レッスンの合間にけっこう外出もするので忙しい。

独りで頑張っている老母を実家に訪ねたり、

妹二人も交えて食事会をしたり、

古巣の同僚が退職するのでお祝いディナーをしたり、

日本バレエ協会の公演「ラ・バヤデール」を観たり、

Angel R」で久保先生に師事している有志で新年会をしたり。

 

仕事もしている。預り源泉税の振込をしたり、

翻訳エージェントに作品の売り上げ報告をしたり、

日本バレエを変える』キンドル版の打ち合わせをしたり、

次の本の仕込みもやっている。

しかし、今月一番大変だったのは、

久保さんの本でお世話になった国内・国外・アメリカの方々への献本作業。

ざっと50人。皆さんのおかげでこの本は完成した。

 

本も読んだ。『パリ・オペラ座へようこそ 〜魅惑のバレエの世界〜

 

 

舞踊評論家・渡辺真弓さんが青林堂から出された新刊だ。

1991年から15年もパリで生活し、パリ・オペラ座の

16シーズンを観続けてきたベテランならではの

パリ・オペ百科事典みたいな一冊だ。

渡辺さんはもしかしたらヌレエフのファンだろうか。

ヌレエフやその作品について割かれたページが多い。

いや、この名門バレエ団の芸術監督として君臨した彼の功績が

それだけ大きかったということなのだろう。いずれにしても、

鵺子はヌレエフ・ファンなのでものすごく嬉しく、参考になった。

 

それにしてもつくづく思うのだ。フランスには

パリ・オペラ座という確固たる国立バレエ団があり、

選ばれし子供たちだけが一貫した訓練を受ける付属バレエ学校があり、

団員になるとサラリーがきちんともらえる生活が待っている。

久保さんの『日本バレエを変える』と合わせて読むと、

鵺子は日本vs.フランスの違いに慄然とする。

 

今週末、山の家に来たら、車庫の軒下に

ものすごく長く大きなお化けみたいな氷柱ができていて驚いた。

 

 

昼間は屋根に積もった雪がゆっくり溶けて垂れ落ちるが

夜間は酷寒なのでたちまちのうちにまた凍る。

その繰り返しでこんなお化けになってしまう。

どう見ても1.5メートル以上あるだろう。

折らないでいつまでも残しておこう。

 

 

初日の出に思うこと

  • 2017.01.01 Sunday
  • 19:28

 

大晦日にわりと早く就寝したせいで

元旦の朝、美しい初日の出を見ることができた。

 

 

やはり清々しい気持ちになる。

ご利益のありそうな新年の始まりだ。

 

ゆっくり過ごしているのでテレビをよく観ている。

NHKBS1の「奇跡のレッスン」がよかった。

2003年世界フィギュアスケート選手権の

アイスダンスチャンピオンで、カナダ出身の

シェイ=リーン・ボーンさんが日本の子供スケーターに

特別レッスンを行うドキュメンタリーだ。

 

ボーンさんは現在コーチ、振付家として各国で活躍し、

羽生結弦、高橋大輔、鈴木明子などとも仕事をしているが、

内向的で感情表現が下手な日本の子供たちの心を開き、

賞獲りの競争ではなく、観客を楽しませ、自らも

氷上で自己解放できるスケーターになって欲しい、

と教えている姿に共感した。

 

バレエレッスンにも通じる教えが多い番組だった。

今年はvariationをたくさん踊るつもりでいる鵺子も、

課題作品に自分なりのストーリーを作り、感情を表現し、

観客にアピールするように踊ろうと決めたのだった。

 

 

久保綋一さんの半生記

  • 2016.08.06 Saturday
  • 23:29

 

先週木曜日、新所沢のNBAバレエ団に最後の取材をしに出かけた。

11月に刊行予定している、芸術監督・久保綋一さんの半生記の

原稿最終確認をさせていただくためだ。

 

到着すると、来年2月の公演作品「ロミオとジュリエット」(こちら→)

の通し稽古が始まっていたので見学させていただくことにした。

久保さんがコロラド・バレエ団でプリンシパルとして踊っていたときの

最初の芸術監督で、「ロミジュリ」の振付家でもあるM・フリードマン氏が

ステージングのために6週間前から来日していたが、

この日がラストデイということもあっての通し稽古だった。

 

ロミオとジュリエット

 

東京シティバレエ団の監督・中島伸欣さんも見学していらしたが、

中島さんは33年前に作られたこの「ロミジュリ」の初代ロミオで、

フロリダのタンパ・バレエ団で踊ったというご縁なのだそうだ。

拝見していると、振付の素晴らしさはさるものの、

ダンサーたちの演技に人間としてのリアリティがあると感じられた。

これは、シェイクスピアが「ロミオとジュリエット」の舞台に設定した

14世紀のヴェローナ(イタリア)の女性たちは14歳で結婚し

子供を産むのがふつうなほどに成熟していたという史実に則って、

よくありがちな、無垢なティーンエイジャー男女の恋愛悲劇

としての解釈を退けたフリードマン氏の演出法に関係しているようだ。

 

ジュリエット役はプリンシパルの峰岸千晶と

ソリストの竹内碧のダブルキャストだが、

この日のリハを通しで演じた峰岸をフリードマン氏は絶賛。

「チアキは作品をよく理解し演じている」

フリードマン氏の隣に座る中島伸欣さんを見ると目に涙を浮かべていらした。

「昔を思い出し、ぼくも作品のなかに入り込んじゃって……」

実は、千晶さんの迫真の演技に鵺子の涙腺も弛んでいた。

来年2月の本番が超楽しみだ。

 

リハを終えて記念撮影。前列中央フリードマン氏の右がバレエミストレス・野田美礼、

左が芸術監督・久保綋一。

 

久保さんの半生記だが、いま写真のレイアウトと本文推敲に手間取っている。

使用したい写真についてコロラド州デンバーのカメラマンから

未返信なのもあるが、連絡がなければ諦めるしかない。

 

今回の本は、25年前に渡米し、あちらで踊り続けたダンサーの

生誕から現在にいたる44年を辿る内容なので取材が煩雑だ。

日本国内は愛知県、長野県、京都など、アメリカは

コロラド州の関係者にも電話インタビューしたし、

フリードマン氏には来日のたびに長時間お話をうかがってきた。

写真の被写体になっている人物には使用許可を得る。

通算1年半に及ぶ作業をよくやってきたと鵺子は我ながら感心する。

 

先日、久保さんが1213歳のときに師事した天才ダンサー、

中村友武先生(故人)のお嬢さんにお会いして、写真を拝借することができた。

中村先生は久保さんのバレエ人生に大きな影響を与えた人物で、

この方を抜きにしては久保さんの半生は語れない。

 

中村先生の写真を入手するには、当時、新宿村にあった

「中村友武バレエ研究所」に出入りしていたお弟子さんで、

現在ニュージーランドの大学で教授をしている人物にたどり着き、

その方を経由して中村先生のお嬢さんに連絡が取れたという塩梅。

 

肝心かなめのお写真をお借りした後、ほっとして東京駅前の

新丸ビルB1Fにある「和カフェあんと」に入り(こちら→)

今年初めての、念願の、かき氷をいただいた。

ちょうど前日に、日本TVの情報エンタメ番組「ZIP!」で

こちらの富士山天然水を使った南高梅果肉たっぷり特製かき氷が

紹介されたそうで、店内は満員だったが、

ほどなくして着席でき、口にしたのがご覧の季節限定の逸品。

 

 

宇治抹茶とはまた違う、淡いグリーンの梅のジュレとジャージーミルクの、

爽やかに甘酸っぱい、鵺子生れて初めての青梅味かき氷だ。

 

NBA「死と乙女」vs. 麻実れい「8月の家族たち」

  • 2016.05.28 Saturday
  • 17:11


今週は仕事の合間をぬってバレエとお芝居を鑑賞した。

27日、金曜日はNBAバレエ団の公演『死と乙女』@北とぴあ。




年会費1万円でファンクラブのプレミア会員になっているので

15時からのゲネプロの見学を特別に許された。

ダンサーたちが本番さながらステージで踊り、

照明、音響担当者たちが調整をし、

芸術監督、振付家が注意を出していく──。

 

第一幕は、林英哲のソロと、

英哲風雲の会・俊英4人が加わってのアンサンブル。

躍動し、汗に光る太鼓マンたちの引き締まった筋肉。

武道の作法に則ったような、統制のとれた美しいバチさばき。

飛び上がり、着地の瞬間に太鼓を打つ見事なアクション。

雄々しい叫び声。彼らは奏者であり舞者でもあった。
 

 

第二幕は、何度観ても見飽きない「ケルツ」。

アイルランド音楽の旋律に乘って、

戦争が続いたケルト民族の歴史から生まれ出る情感を、

茶、赤、緑の衣裳で区別された男女のメインダンサーたちが、

それぞれ、大地の哀しみ、血の叫び、自然の躍動なのだろうか、

群舞を従え絶え間なく踊り続ける。

象徴的に挿入される男子6人による〈闘士の踊り〉は

今回の特別バージョンとして英哲風雲の会による

和太鼓のリズムに乘って繰り広げられた。これが凄い。

ダンサーと太鼓マンが溶け合い一体になっている。

そこに大和民族とケルト民族の精神のハーモニーを見た。
 

そして第三幕、舩木城・振付の新作「死と乙女」。作曲はあの新垣隆。

演奏はピアノ・新垣と和太鼓・英哲、天才ふたりのセッションなのだ。


 

観る側の思考を拒絶する不思議な音楽とバレエが始まった。

理解しようとする力がするりと抜けていく。

ステージに吸い込まれるように聴いて観ている自分がいるだけ。

意表を突くダンサーたちの動き、痙攣、顔の表情、

それによって伝わってくる不可解なエロスと死の世界。

唐突に発せられる狂気じみた乙女の笑い、悲鳴、怒号、

そして思わず笑えてしまう愛らしくもナイーブな仕草。

 

そう、「死」は理解不能で、突然あるいはゆっくりやって来て、

滑稽だし、醜くもあり、だけどそんなことどうでもいいのであって、

なぜにプロダンサーの肉体は、ストーリー性を排除した舩木の新作を

こんなにも演劇的に踊ることができるのだろう──

と思考が戻りかけたところで、はたとバレエは終わり、

場内はブラボーと拍手喝采の嵐に包まれていたのだった。

 

友人と鵺子の席は最前列のかぶりつきで、

ダンサーや太鼓マンの動きも表情も汗もよく見えた。

プレミア会員の特権で、早期予約の良い席がとれたのだ。

生の舞台はかぶりつきに限る。

 

この週の火曜日、鵺子はターコさん(麻実れい)主演の

芝居「8月の家族たち」@シアターコクーンも最前列で観た。

これは「麻実れい後援会」に入っている役得で、

幹事さんが後援会わくで良い席を確保してくれたのだ。

名古屋から駆けつけた友人と一緒に観劇したのだが、

目のすぐ真ん前で生身の役者たちが演技するのだから大感動。

家族たちの痴話喧嘩が高じて皆でお皿を床に叩きつける場面では

プラスチックのその破片がこちらまで飛んで来るので、

鵺子は舞台の役者さんと一緒に「キャー! ギャー!」と叫んでいた。


 

8月の家族たち」はピューリッツァー賞戯曲部門&

トニー賞最優秀作品賞などを獲得しているトレイシー・レッツの傑作で、

メリル・ストリープとジュリア・ロバーツ共演で映画にもなっている。

ターコさんは、口腔ガン、脳に損傷あり、

痛み止めから始まる様々なドラッグの中毒になっていて

おまけに認知症も出ている、3人の娘たちから見放された

悲劇的な未亡人という難しい役どころを見事にこなしていた。

5月7日から29日まで、約3週間演じ続けている。

 

「ねえ、出待ちしたいね」と友人と示し合せ、

終演後、劇場の楽屋出口に行ってみたら、

幹事さんやベテランファンのかたが数名いたので

チケットの手配御礼など口にしながら待っていたら、

ラフなジーンズファッションでターコさんが出て来た。

 

舞台でのお姿とは打って変わってリラックスした様子で、

「お疲れ様でした!」と二人して伝えると、

そっとこちらをみてあの例のアルカイックなスマイル。


 

それから幹事さんたちと話しながら駐車場へ向かうので、

金魚の糞みたいに後についていくと、ややあって、振り返ってくださり

「だいじょうぶ?」とおっしゃるので、なにがだいじょうぶなのか

わからないけど、「はい!」と口を揃えるミー&ハー。

そして駐車場から黒のベンツを運転して颯爽と出て来たターコさんを

皆で見送ったのであった。

 

いや、しかし、やはり舞台物はDVDや映画ではなくナマがいい。

それもできれば良い席で。

NBAのファンクラブに入るといろいろな特典がある。

ご関心のある向きはどうぞ(こちらへ→)

死と乙女」は29日、日曜日も2公演ある。

 

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(株)チャイコのHP

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このブログについて

バレエ関連書籍の出版社「チャイコ」専属エディター、鵺子が仕事、バレエ、スウィーツなどについて書いています。

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