ミントアイスな日々

  • 2018.07.06 Friday
  • 05:29

 

仕事が一段落した2週間前の6月下旬

年初から決めていた二対目のピアスホールをようやく開けた。

近所のスキンケアクリニックでやってもらったのだが、

テープ麻酔をしたのに、ホッチキスみたいなピアッサーで

ぱちん! とされたときの痛さったらない。

お洒落ピアスを着けられるようになるには1〜3か月かかるので、

いまは無骨な医療用ピアスをつけている。

 

ピアスをたくさん持っているので、

毎日2セット付ければ楽しいだろうと思っての第二のホール。

6月末には友人が青梅で経営している大山宝石がセールだったので、

出かけて行き、コレクションアイテムの十字架タイプを2セットと

最近流行りの紐みたいなロングタイプを1セット購入した。

着飾れるまで最低でもあと2週間はお預けだ。

 

 

買物が済むと、わが友は日の出町の向こう側、あきる野市の

「南沢あじさい山」に車で連れて行ってくれた(こちら→)。

南澤忠一さんが40歳のときにご先祖様のお墓に花をお供えしたいと、

墓所周辺にあじさいをこつこつと挿し木で増やしては植え、剪定を続け、

村人、ボランティアの助けもあって半世紀経ったら

山一帯が花の山になっていたという──

なんともステキに美しいエピソード付きの観光スポットなのだ。

NHKで紹介されたらたちまち知れ渡って人気を集め、

我々が出かけたのは平日にもかかわらず

けっこうな数の人々が入山して花を愛で巡っていた。

 

 

早々と梅雨が明けたと思ったら、戻り梅雨だとかで蒸し暑くだるい日が続いている。

すっきりしゃっきりしたいので、このところミント系アイスクリームに凝っている。

意識して探すとあるもので、コンビニで多種のミントアイスクリームを見つけた。

 

 

 

ご覧の写真左縦長: ファミリーマートでフローズンされているものを注文し、

 店頭のマシンからミルクを注いでDIYするミントフラッペ。

上段上から時計回りに: チョコミントパンケーキ、ぎっしり満足チョコミント、

 ダースミントアイスバー、ベイクアイスミント、ガリガリ君リッチチョコミント、

 エッセルスーパーチョコミント6点ともファミリーマート)

下段上から: ショコラミントマカロンアイス、

 生チョコ入りチョコチップミントバー(2点ともセブン-イレブン)

 

いずれも夏場の人気商品らしく、翌日アイスボックスを覗きに行くと

ほとんどが品切れなので、運よく見つけたときに買い溜めすることになる。

コンビニはエンジェルR表参道校の付近にあるので

レッスンを頑張った夜には、カロリーを気にせずミントアイス舐めなめ、

すっきり爽快気分で帰路につき、至福タイムを満喫している次第。

 

それにしても思い出すのは、大昔サンフランシスコに住んでいたとき、

デパートのMacy’s 1階カフェで冬も夏も食べていたミントサンデー。

ミントシロップを下に敷き、緑と白のミントアイス2種を交互に詰め込み、

ミントチョコソースをかけ、ミントチョコ1枚とハーブのミント葉を飾った代物で、

食べ終わると頭がキーンとして、全身が涼しくなって、震えているのだった。

あれを食べるためだけにでも、いつか週末SFに遊びに行きたいなぁ。

 

 

NBAバレエ団「Short Stories 9」にBravi!

  • 2018.06.17 Sunday
  • 08:31

 

子糠雨の15日(金)、紫色のレインブーツを履き、

足取り軽く、彩の国さいたま芸術劇場に出かけた。

NBAの「Short Stories 9: Ballet Incredible観賞日だったのだ。

悪天候にもかかわらず気分が浮き浮きしていたのは、

遅れに遅れていた印刷所への入稿を12日(火)に終え、

バレエ無しで机にへばりついていた犇豺圻瓩10日間から

ようやく解放されていたからなのだが、当日は二回公演だから

二回ともキャスト違いで楽しむぞ、と盛り上がっていたせいもある。

14時と19時の舞台をSSの同じ席でリラックスして堪能した。

 

竹田仁美/盒郷診靴痢Stars & Stripes》を観るのは今回で二度目だが、

軽妙かつ敏速な足さばきとチャーミングな表情を要求される難しい

バランシン作品をこのカップルはいつも完璧にいとも簡単そうに踊りこなす。

 

Celts(ケルツ)》は大のお気に入りで、この演目が入っていれば

いつでも、どこでも、何回でも、わたしはNBAを観に行く。

今回でおそらく5回目になるんじゃないだろうか。

ダンサーの体が美しく躍動する踊りで目が歓び、

アイルランド音楽の変化に富んだ旋律が心を癒してくれる。

衣装がグループ毎に色分けされているのだが、

】の男性パートを踊った大森康正の、触れれば手が切れる

鋭利なナイフのように研がれた動きに一段と磨きがかかり、

同パートを夜の部で踊った清水勇志レイは先輩・大森に肉迫する

テクニックを見せて、大変な成長ぶりだった。

茶色】の峰岸千晶はアイルランドの地に君臨する女王のごとき

崇高さを身に纏っていたが、このプリンシパルダンサーが醸し出す

品格はいったいどこから来るのだろう、恰も御仏、マリア様なのだ。

そして一番好きなパート【メンズダンス】は筆舌に尽くし難い。

美しく引き締まった体の男子5人が上半身裸で途切れなく

跳躍し、回転し、ぶつかり合い、走り、拳を振り上げ踊る姿は

原始の祭礼シーンやスポーツ大会は斯くの如しかと思わせる。

5人が輪になるときには、なぜか今回はストーンヘンジの

神秘性をわたしは感じていた。毎回新しい発見があるのだ。

どのダンサーも素晴らしいが、昼夜踊っていた河野崇仁とは

個人的な面識があるので自然に目が行った。彼は

振付家兼ソリストの宝満直也の新作《11匹わんちゃん》と、

《ブルッフ ヴァイオリン協奏曲第1番》でも昼夜踊っており、

そのパワーとエネルギッシュな踊りに瞠目した次第。

 

宝満直也の《11匹わんちゃん》には意表を突かれた。

5月にスタジオリハーサルで未完成のものを拝見していたが、

このような衣装、メイク、演出で来るとは! スタリハでの説明で

「ダンサーがものすごく動けるので振付がどんどん進化していく」

というように宝満は話していたが、NBAダンサーを得て

この若い振付家は嬉々として作品を仕上げていったのだろうと拝察する。

竹田仁美がここでも大活躍で、キュートな役どころを昼夜演じ踊っていた。

11匹男子瓩獅子奮迅、いや犖せ卻蛙廰瓩靴討い燭里聾世Δ泙任發覆ぁ

 

アルビン・エイリーの名作The Riverより《ボーテックス》

今回二度目の観賞で、前回同様、未だアーティストの勅使河原綾乃だが、

このダンサーは凄いのだ! 回転、アラベスクでの静止など、

すべての動きで全くブレない! 天と地を突き刺して踊り、

笑顔を浮かべて若々しく艶めかしい視線を客席に送る余裕さえ見せる。

 

書き切れないので一旦ここで筆を擱くが、ここまでだけでも

NBAダンサーの躍進、成長ぶりは明白だろう。

9月の日本初演「リトルマーメイド」、

来年3月の久保綋一版「白鳥の湖」に期待は弥増すばかりだ。

 

昼の部が終わり、夜までに待ち時間がかなりあったので、

どこのバレエ公演でもお会いする熱烈なバレットマン、Hさんと

劇場併設のカフェでお茶をした。ほぼ毎週バレエを観に行く

Hさんのバレエに関する情報、知識は並外れで、

語り出すと止まらない。あっという間に夜の部の開演時間になった。

夜の部にはバレエ友だちのAさんが勤務を終えて駆け付け、終演後、

三人でオチャケをしながらバレエ談義をしたので、

与野本町から渋谷に戻ったときには地下鉄銀座線が終わっていた……。

 

Hさんといただいたカフェペペロネのキャラメルショコラケーキ。

 

*敬称略とさせていただきました。

 

 

 

 

 

バレエ三昧の季節(最終回): 「リーズの結婚」他

  • 2018.06.03 Sunday
  • 01:25

 

がさがさ懸命に生きていたらもう6月で、

今年も残すところ半年になってしまった。

仕事に集中していると家を出るのが億劫になり、

レッスンに行くのは4、5、6月限定月謝制で毎週水曜受講の

「ドン・キホーテ」パ・ド・ドゥWSがメインになってしまい、

Angel R(こちら→)の月16回チケットの消化は下旬になだれ込み、

月末だけ大忙しで踊っている。

 

それでもバレエ鑑賞は仕事の一貫だから、観るべきものは観る。

前回書いた「ヌレエフ・ガラ」の後、5月の残りは

13日(日)、スターダンサーズ・バレエ団「ドラゴンクエスト

 @テアトロ・ジーリオ・ショウワ

30年以上も前の我が国の大ヒットゲームをベースに、

20年以上も前に作られ、上演され続けている日本製のバレエだ。

お話はゲームからきているのでわかりやすい。

プリンセスと二人の騎士の三角関係に、悪と善の闘い、

ワイルドなダンスの見せ場も絡み、結婚式でお目出度いエンディング。

西洋古典バレエの構成パターンをオーソドックスに踏襲した作り方だ。

2017年から装置・衣装を一新したそうで、幻想的かつ近未来的で効いている。

モンスターが可愛く、剽軽で、会場でお子達の笑い声が沸き起こっていた。

 

(左)「ドラゴンクエスト」 (右)「眠れる森の美女」のプログラム

 

18日(金)、英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団「眠れる森の美女

 @東京文化会館/「眠り」はいろいろ観ているが、

バーミンガム自体の公演を観るのは初めてだし、新国立劇場バレエ団の

前・舞踊芸術監督だったデヴィッド・ビントリーが率いるバレエ団で、

加えてアリーナ・コジョカルのオーロラ姫は観ておくべきだろう、

と思って行ったのだが、私的には全盛期の吉田都のオーロラが好きすぎて、

ちょっと? という感じだった。誕生日のローズ・ヴァリエーションで

ピルエットを4セットするシーンがあるが、都さんはセットごとに

二回、二回、二回とピルエットを入れていき、最後の4セット目では

氷上の演技であるかのようにスルスルと5回転こなして

スルリとストウニューで締める。(こちらのYoutube 1:47〜→)。

コジョカルさんは最多2回なので肩透かしを食ってしまった。

わたしが篤い拍手を送ったのは、カラボス役の佐久間奈緒で、

強烈に個性的なカラボスを演じ踊っていた。

 

25日(金)、同じくバーミンガム「リーズの結婚」@東京文化会館

ヴァリエーションの踊りはAngel Rのクラスでも経験して知っているが、

全篇を観たことがなくて、是非ともと思って足を運んだら、

すごく良かった! 農村の若い男女を巡るコミカルなラブストーリーで、

金持ちのおバカ御曹司や着ぐるみのニワトリたちが楽しい。

ニワトリの踊りはユニークだし、リーズの母親で未亡人の

シモーヌが木靴でタップして踊るクロッグダンスは特筆に値する。

恋人同士がリボンを持って踊るうちに綾取り図形ができるのも新鮮な驚き。

リーズ平田桃子が恋人コーラス(マチアス・エイマン)の片掌に腰かけ、

高々とリフトされる「お尻のリフト」なんてビックリ仰天ものだった。

「リーズの結婚」は現存するバレエ作品では最も古く、初演はフランスの

ボルドーにて1789年(受験で覚えた「火縄燻る」だからフランス革命の年!)。

これが各国で振付、音楽など改訂に改訂が重ねられ、上演され続け、

英国の振付家フレデリック・アシュトンの究極的新改訂版が世界初演されたのが

1960年で、それを今回、わたしは東京文化会館で鑑賞したというわけだ。

ヨーロッパ各地の庶民の踊りや生活風情が織り込まれ、主人公は愛すべき農民。

これがわたしの琴線に触れるのだ。革命に立ち上がった一般市民が

織りなすバレエ「パリの炎」で血湧き肉踊ったのもそういうことだった。

生きているバレエって、そういうものなんじゃないだろうか。

リーズ役の平田桃子さんは小さくて可愛くて表現力のあるプリンシパルだ。

ところでもうひとつ心惹かれた要素がこのバレエにはある。

小さな馬車を引く小さな真っ白なポニーが二度出てくるのだが、

これがたまらなく可愛くて、登場・退場で思わず拍手を送ってしまった。

着ぐるみじゃないですよ、ちゃんと生きてるポニーです。

 

(上)「リーズの結婚」プログラムでお尻のリフトが掲載されてる頁

(下)「Woman of the Year」のフライヤーで、左端手前が宮尾俊太郎。

 

6月に入り、1日(金)には元宝塚歌劇団雪組トップ早霧せいなの退団後

初主演ミュージカル「Woman of the Year」@TBS赤坂ACTシアターで観た。

なぜに突然ミュージカル? と思われるだろうが、Kバレエ カンパニーの

プリンシパル宮尾俊太郎が亡命ロシア人ダンサーの役で出演しているからだ。

バレエダンサーがバレエ以外で仕事をすることに個人的関心があり、

宮尾さんの場合は役者としてはどうなんだろう、と興味津々なのだが、

これがけっこう堂に入っており、がたいがいいし、姿勢もびしっとしているので

舞台に登場しただけで、もうひと際目立って、絵になるんですゎ。

台詞回し、演技もナチュラルで、かつ持ち前の飄々としたコミカルキャラ全開。

バレエもばんばん踊ってくれるし、いまチャイコで入稿準備中の翻訳小説にも

亡命ロシア人ダンサーが出てくるので、対比しつつ感情移入しながら観ていた。

このミュージカルは大物女性ニュースキャスターの恋の行方についてのお話で、

ブロードウエイ初演は1981年。アメリカ的で派手で賑やかな舞台──

梅雨の季節のステキな幕開けとなりました。

 

 

 

 

バレエ三昧の季節 そのNBAスタジオリハ見学

  • 2018.05.27 Sunday
  • 06:55

 

今週25(金曜)は新所沢のNBAバレエ団に出向き、

6月公演「Short Stories 9 – BALLET INCREDIBLE」(→こちら)

のスタジオリハーサルを見学した。

ファンクラブのプレミア会員(→こちら)のための特典ご招待で、

またとない経験をさせていただいた。

 

 

「ショート・ストーリーズ 9 ─バレエ・インクレディブル」は

NBAがこれまで上演してきた作品の中でも飛び切りの十八番、

ともいうべき作品7編:

 『スターズ&ストライプス』より パ・ド・ドゥ

 『ガチョーク賛歌』より 性トリオ

 『ケルツ』 全篇

 『ロミオとジュリエット』より パ・ド・ドゥ

 『ザ・リバー』より ボーテックス

 『海賊』より パ・ド・トロワ

 『ブルッフ ヴァイオリン協奏曲第一番全篇

これに振付家兼ソリストの宝満直也による新作11匹わんちゃん』

プリンシパルの佐藤圭も振付に挑んだ新作La Vitaが入っている。

ファンにとっては文字通りIncredible(まじ、すげえ! の意)な贅沢さだ。

 

スタジオリハでは、ガチョーク、ケルツ、ブルッフ(部分)、La Vita

11匹わんちゃんを見せていただいたが、普段の稽古場の至近距離で

ダンサーたちがパワー全開で踊っているのを観るのはすごい迫力だった。

新作は(当然)観たことがないので興味津々だったが、

La Vitaは美しく長い腕脚を持つ佐藤自身によるソロで、

儚くもたおやかにして生命力溢れる神羅万象の輪廻を体現している。

衣装がどうなるかが楽しみだ。

宝満の11匹わんちゃん』は、意表を突いたオトナなコンセプトで、

ダンサーに高度なテクニックと激しい動きを要求している。

「衣装は着ぐるみですか?」の声が見学ファンから聞こえていたが、

「本番を乞うご期待」と、思わせぶりな振付家のご託宣だ。

 

芸術監督の久保綋一は新しい振付家をどんどん起用していく戦略で、

著書『日本バレエを変える ─コーイチ・クボの挑戦―にもあるように

まず自分のバレエ団NBAの変革を推し進めている。

毎年怒涛のように押し寄せてくる海外バレエ団の日本公演に負けず、

張り切ってもらいたい。だから応援を続けている。

 

公演は6月151617日、全4回公演@彩の国さいたま芸術劇場だが、

ゲットしてあるチケットは15日の昼・夜で、キャスト替わりを楽しむつもり。

個人的には大好きな『ケルツ』と『ザ・リバー』を堪能すると同時に、

衣装・照明ありでの新作本番お手並み拝見といったところだ。

 

話しは変るが、最近、銭湯に行っている。

仕事で硬くなった脳味噌をふやかすのと同時に、

バレエのレッスンで硬くなった筋肉をほぐすことができる。

なんと、この南青山に、100年続く銭湯があるのだ!

「清水湯」という。

 

「清水湯」は港区南青山3-12-3 直近は表参道駅A4

 

一年程前に知り合いがFBでアップしていたので知ったが、

実際行ってみると、ほんと、結構な銭湯で気持ちがいい。

浴室の水は軟水で、3種類のジェットバス、水風呂もあり、

高濃度炭酸泉(炭酸ガスが細かい気泡で溶け込んでいるお湯)

シルク風呂(お湯に微細な空気の泡を混合させいる真っ白なお湯)完備。

銭湯で湯上りといえばこれでしょう、とばかりにコーヒー牛乳を飲み、

ついでに北海道豊富牛乳使用のアイスクリームをいただく。

すんごくし・あ・わ・せ!

 

 

 

バレエ三昧の季節 その 屮魅譽┘奸Εラ」など

  • 2018.05.22 Tuesday
  • 03:47

 

遅れている次の本の作業が大分整ってきたので、

2ヵ月も休載状態だったブログを書く余裕も出てきた。

忘れないうちに、まず3、4、5月に観たバレエ作品について──。

 

3月14日(水)バレエフレンドK子さんと観た

ボリショイ映画「ジゼル」@TOHOシネマズ新宿:

  ポルーニンのアルブレヒト狙いだったが、私感では、

彼の容姿は軟弱な貴族向きではなく、ザハロワは

いつもながら美しいが、このジゼルにはいささか薹が立ちすぎ。

最近のわたしは、西洋人で頭小・腕脚長いダンサーだからステキ、

とは思わないので、鑑賞の仕方が難しい。

 

3月25日(日)一般社団法人現代舞踊協会主催の現代舞踊名作劇場

       @彩の国さいたま芸術劇場大ホール:

 日本のバレエ史の研究のためにどうしても観ておきたかった公演だ。

石井みどり作《体 ─たい─》(1961年初演)

江口隆哉・宮操子作《プロメテの火 ─全景─》1950年初演)。

西洋からバレエが入ってきて、先人たちはその洗礼を受けたが、

ある時点でバレエから離れ、現代舞踊のパイオニアとなった人たちが日本にはいた。

その流れから出て来た舞踊家の代表例が石井みどりであり、江口・宮夫妻だ。

日本のバレエの今後を考察するには欠かせない人たちであり、作品である。

個人的に琴線に触れたのは《体 ─たい─》で、

音楽がストラヴィンスキー「春の祭典」のせいかもしれないが、

群舞ダンサーたちの驚くべき身体能力が音とマッチして圧巻、現代的。

振付、舞台展開も秀逸で全然古くない。

 

(上)指揮者・作曲家の近衛秀麿が戦前、ドイツから持ち帰った「春の祭典」の楽譜。

(下)劇場ロビーに飾られていた昔の「体 ─たい─」の舞台写真と、晩年の石井みどりさんのポートレイト。

 

4月18日(水)ボリショイ映画「パリの炎」@TOHOシネマズ日本橋:

 「パリの炎」は昨年6月のボリショイ・バレエ団来日60周年記念公演の

プログラムに入っていたが、観逃していたので、映画が来てラッキーだった。

フランス革命のときの市民たちが闘う姿をバレエ化したもので、

お姫様だの妖精だのという夢の世界ではない、地に足がついた内容、

それをバレエで力強く踊って表現するのだから、これはもうわたし好み。

キーロフ・レニングラード・バレエ団がワイノーネン版を1932年に初演、

ボリショイ劇場では1933年に上演されたというが、

日本ではコンクールでパ・ド・ドゥを見かけるぐらいなので、

一体全幕はどういうストーリーなのだろうと気になっていた。

今回のはボリショイのラトマンスキー芸術監督の台本・振付による、

衣装も装置も刷新されたニューバージョンで、2008年に初演されたという。

だからなのだろう、クランコ的というか、ノイマイヤー的というか、

ダイナミックでドラマチックで斬新なのだ。それでいて、

革命がもたらす人間の希望、悲哀、エネルギー、未来をうまく描いている。

 

月が替わって、5月9日(水)ウィーン国立バレエ団の

ヌレエフ・ガラ」@Bunkamuraオーチャードホール:

今回の来日公演には「海賊」もプログラムにあったが、

3月にNBAバレエ団のを観たばかりだったし、

ヌレエフ・ファンとしては当然、ガラを選んだ次第。

 

(左)売り場にあったパネル。(右)プログラム。表紙がベージュに金の飾り罫でとても上品。

 ルグリ版「海賊」の解説、本人のロングインタビュー記事が読み物のようで充実している。

 

このバレエ団の芸術監督は元パリ・オペラ座エトワールで、

いまでも日本で人気のある54歳のマニュエル・ルグリ(就任2010年〜)

彼は駆け出しの頃、パリオペ芸術監督だったヌレエフに目をかけられ

大抜擢を受け、今日自分があるのはヌレエフのおかげ、として

毎年、オマージュとしてこのガラを上演している。

 

前半はバランシン《ワルツ・ファンタジー》(1931年初演)を除けば、

11作品が20世紀後半から21世紀に入って作られたもので、

ヨーロッパのバレエの進化、変貌の方向を示唆している。

ルグリは2020年に芸術監督の座を退くと公表しているが、

退任までにこのバレエ団をさらに大きく育てておこうとしているのか、

そんな彼の真摯な意気込みが感じられるラインアップになっている。

強烈に印象的だったのはノイマイヤー振付《『ヨゼフの伝説』より》と

ダニエル・プロイエット振付《シーニュ 白鳥》。

前者はヨゼフ役のダンサーが全裸に近い姿で美しく衝撃的に踊り、

後者は環境破壊された21世紀の地球の“瀕死の白鳥”とでもいうか、

顔は白塗り、真っ赤な紅で大きく裂けたような口を描いたバレリーナが、

奇抜なデザインのチュチュで、半身不随、腕脚骨折、全身麻痺のように

バランスを崩して、苦しみ、もがき、踊るのが奇妙に感動的で胸を打つのだ。

ルグリ自身はプティの「《ランデブー》より」と

ノイマイヤーの新解釈による「《シルヴィア》より」を踊り、

ひときわ大きな拍手喝采とブラボーを浴びていた。

なんだろう、日本人はほとんど彼を愛して離さない、といった感じだ。

 

後半は、[ヌレエフ・セレブレーション]と謳った

ヌレエフ振付全幕物からの抜粋上演になっていた。

『くるみ割り人形』『ライモンダ』『白鳥の湖』という並び。

日本人ダンサーの橋本清香(プリンシパル)、芝本梨花子(アンサンブル)、

木本全優(プリンシパル)も生き生きと踊っていた。

ダンサーたちが踊っている間、終始バックの紗幕

ヌレエフの魅力的に柔和な表情の大きな顔写真が映し出され、

ルグリが育てた弟子たちを優しく見守っていた。

まるで慈母のような、すごく良いお顔をしたヌレエフなのだ。

 

ルグリが芸監に就任する前、ウィーン国立バレエ団にはソリストと

コール・ド・バレエしかおらず、主要な役は外からゲストを招いて

踊ってもらっていたが(日本のバレエ団にもその傾向がある!)、

彼はそれを良しとせず、団員にやる気を持たせ、競って成長させるために

ヒエラルキー制度を構築し、踊れるプリンシパルを育ててきたという。

今回の公演は、その成果を日本のファンに見せるためでもあったのだろうか。

ルグリにとって、これが在団中の最後の日本ツアーになる。
 

 

* 5月のバレエ鑑賞はあと3つあるが、そろそろまた仕事に戻らなければならないので、

     次回のことといたします。

 

 

 

 

NBA「海賊」: 未見のバレエ観て歩き

  • 2018.03.18 Sunday
  • 12:16

 

17日の土曜はNBAバレエ団「海賊」の初日で、

東京文化会館に出かけた。

久保綋一芸術監督の下に実現したオリジナル制作、世界初演、

それはバレエ史上だれも経験したことのない「海賊」だった。

なによりも、イギリスの詩人ジョージ・ゴードン・バイロン卿

長編叙事詩『海賊Le Corsaire)』のストーリーの流れに沿って

台本が作られているのが、文学好きの身には嬉しい。

 

 

バイロン卿のこの叙事詩は1814年に出版され、発売当日に

たちまち1万部が売れたという、200年前の大ベストセラーだった。

これを基に、バレエ「海賊」がパリで初演されたのが1856年。

以後、プティパ版、グーセフ版、セルゲーエフ版などが上演されているが、

いずれ似たり寄ったりの、当時必要とされた大衆的な娯楽に追従した内容で、

装置や衣装やダンサーや、ちょっと振付が変ったくらいの改訂版では、

もう話は分かっているから、私なんぞは見たいと思わない。

 

ところがNBAの久保綋一版は、バイロン卿の詩が内包する

人間の運命の悲哀──ひとりの男を愛してしまった、女ふたりの

心の揺れ動きや葛藤。裏を返せば、ふたりの女を愛してしまった男の

戸惑い、やるせなさがうまく描かれていて胸が痛くなった。

そんなバイロン卿の詩の精神性を“改竄”せずに、

構成上必要な変更だけが行われている──

 例えば、バイロン卿のメドーラは海賊船には乗らず、館で留守番をし、

 帰らぬコンラッドが死んだものと思い、悲痛のうちに自死をする。

 久保綋一版では、先に海に出たコンラッドを追ってメドーラも乗船し、

 海賊たちと行動を共にして悲劇的な事件に巻き込まれる──

NBAの「海賊」は、卿の言いたいところをバレエで表現し得ているのだ。

 

新たな楽曲を新垣隆が創作し、それを従来の音楽に違和感なく

繋いでいく共同作業を行った指揮者の冨田美里

新たな振付をして、既存の振付にこれまたシームレスに紡いでいった宝満直也

リアルな戦闘シーンの殺陣振付・指導をした新美智士

そうして成された彼らの仕事を、ダンサーたちが踊ることで、

古色蒼然とした古典作品に新たな命が吹き込まれた。オールニッポンの快挙。

年を重ねるごとに細かいブラッシュアップ、リタッチが行われ、

再演に再演が重なっていくことを願う。

 

6日の火曜日、公益財団法人としま未来文化財団と豊島区主催による

舞踊鑑賞講座「目白三人の会 〜3つのダンスの世界〜」を

池袋の東京芸術劇場プレイハウスで観た。

 日本舞踊: 花柳千代舞踊研究所

 現代舞踊: 芙二三枝子舞踊団

 クラシック・バレエ: 小林紀子バレエ・シアター

によるお話を聞いて実演を鑑賞するという、実に有意義なイベントだった。

ほぼ毎年開かれ、今年で第32回目となるそうだが、

師事しているバレエの先生が出演なさるので、初めて伺った次第。

 

冒頭、高野之夫区長による挨拶があったが、

2020年の春には旧区役所跡地周辺に超高層ビルが建設され、

8つの劇場を含む国際的なカルチャーゾーンが開業するとのこと。

ここ数年、東京都内では劇場の閉鎖が続いており、

バレエの公演の場所も減っているのが懸念されているので、

池袋に一気に8つの劇場というのは大変な朗報だ。

東京芸術劇場で公演することもあるNBAバレエ団にとっても然り。

 

*文中、敬称略とさせていただきました*

 

東京芸術劇場の帰りにいつもお茶するPatio de METROの

ベルギー産チョコレート・濃厚ショコラケーキとアロマ濃厚の珈琲。

 

 

 

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バレエ関連書籍の出版社「チャイコ」専属エディター、鵺子が仕事、バレエ、スウィーツなどについて書いています。

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